ミドリゾウリムシの培養
1% 麦葉浸出液(ストック)
刻んだ大麦若葉がペットの餌として入手できる。
- 乾燥麦葉 5g(ティーバッグに入れると扱いやすい)
- 水 500ml
- オートクレーブして麦葉を取り除く(ティーバッグ入りならそのままでも大丈夫)
- 冷蔵庫で保存
1% 大麦若葉抽出液(ストック)
麦葉浸出液の代用として使用できる。ドラッグストアに売っている。
- 大麦若葉(3g包) 1包
- 水 300ml
- オートクレーブし遠心して上清をとる
- 冷蔵庫で保存
培養液
- 清潔なフラスコやペットボトルを使用
- 1% 麦葉浸出液 100ml(1:20;最終0.05%)
- 水を加えて2L
- 麦粒 数粒
- エビオス錠 半粒(オプション)
水は、熱湯を冷まして使うか、市販の天然水を使う。
麦粒は、健康食品の大麦や押し麦などを使える。付着している菌類が増えて餌になる。滅菌されたものだったら、緩い容器に少量移して保存しておく。
エビオス錠も加えると、その酵母が餌になる。底でふやけた錠剤の表面でミドリゾウリムシがまず増え始める。バイオフィルムができやすい。プラトーまでの期間が延長されるようだ。
ハイポネックス単独の培養液では数日で死滅してしまうので、共生するクロレラだけでは栄養が足らないらしい。
継代培養
1~2週間くらいでプラトーになる。1か月くらいは大丈夫だが、死滅しないうちに継代したい。安全のため複数の培養を並行する。照明はLEDデスクライトや実験台の照明など。暗すぎるとクロレラが減る。明るすぎると光毒性が出る。
- 培養液 2L
- ミドリゾウリムシ懸濁液 5~50ml(検鏡して確認のこと)
- 緩く蓋(ホイルやもともとの蓋)をする
- LED照明下、室温で培養
アイリスオーヤマ LED デスクライト 広可動 左右両利き 調光無段階 まぶしさガード付 高演色 省エネ 3000lx ホワイト LDL-701-W
クロロゴニウムの培養
培養液
- 清潔なフラスコやペットボトルを使用
- ハイポネックス原液 2ml(1:1000 = 0.1%)
- 水 2L
継代
1~2週間くらいでプラトーになる。1か月くらいは大丈夫だが、死滅しないうちに継代したい。安全のため複数の培養を並行する
- 培養液 2L
- クロロゴニウム懸濁液 5~50ml(検鏡して確認のこと)
- 緩く蓋(ホイルやもともとの蓋)をする
- LED照明下、室温で培養
培養の実際
ミドリゾウリムシ
ミドリゾウリムシの増殖は、まず麦粒の周りに生じる緑色の点で分かるようになる。また、ミドリゾウリムシの泳ぐのが見えるようになる。特に水面近くに多い。
じきに水面や底にバイオフィルムができて、培養液が汚れた感じになってくる。また、容器に緑色の汚れが付くようになる。培養液の色が最初の褐色から緑褐色に変化するが、クロロゴニウムのような鮮やかな緑色にはならない。
クロロゴニウム
クロロゴニウムの増殖が進むと、培養液がもとの青色(ハイポネックスの色)から緑色に変化してくる。2リットルペットボトルの場合、上から光を当ててあると、水面に近いところからこの色の変化が起こる。この緑色が容器の底まで達するようになったら、プラトーと考えられる。十分に増殖すると、培養液が鮮やかな緑色になる。
バイオフィルムが生じることもあるが、おおむね培養液の汚れは少ない。汚れてきたら濃縮して継代した方がよい。
クロロゴニウムは肉眼でみるには小さすぎるが、培養液が緑色になる程度に増殖していれば、粒子が渦を巻くように流動するのがみえるかもしれない。
どのくらいで死滅するか?
2リットルペットボトル4本で上記の培養液を使い、LED照明を当て続けて15か月培養を続けた。ミドリゾウリムシ、クロロゴニウムともミドリ色のバイオフィルムが沈殿し、水面には白色のバイオフィルムが浮いているのもあった。培養液全体の色もボトルにより差違があった。
ここから濃縮すると、クロロゴニウムは4本中4本から高濃度の懸濁液が得られた。ミドリゾウリムシのボトルからは4本中2本から高濃度の懸濁液が得られた。他2本からはクロロゴニウムがとれた。コンタミしていたと思われる。
濃縮
稚魚の餌として使うために、ミドリゾウリムシ、クロロゴニウムとも走光性を利用して濃縮する。
ミドリゾウリムシ
ミドリゾウリムシには正の走光性がある。これを利用して濃縮できる。
この正の走光性はミドリゾウリムシ内のクロレラによる。ただし光が強すぎると負の走光性が表れる。またミドリゾウリムシ本体には負の走光性がある。また、ゾウリムシのような負の走地性(重力の反対側に集まる)は示さないので、ゾウリムシと同じ方法では濃縮できない。
- ミドリゾウリムシが十分に増殖した培養液をメスシリンダーや三角フラスコに一杯に満たす。
- 熱帯魚用の濾過マット(ジェックス 徳用 6枚入 ろ過マット)を2センチ幅に切ってロールケーキのように丸め、容器の円筒状の部分に差し込む。
- 濾過マットより上の部分を流水で洗い、その水を捨てる。
- 新鮮な培養液で満たす。
- 濾過マットより下の部分をアルミホイルなどで遮光する。
- 光を当てて4〜5時間置する。
- 上層にミドリゾウリムシが集まるので、スポイトで集める。
- 濃縮をセットするとき、麦粒やバイオフィルムが底に堆積していると、それにミドリゾウリムシが集まってしまう。これらが混じらないようにしたい。
- 静置する時間が長すぎると、ミドリゾウリムシが死んでいき、収量が低下する。3と4を省略してろ過マットで漉されたままの液を使うと死滅を防げる。
クロロゴニウム
クロロゴニウムには正の走光性がある。これを利用してクロロゴニウムを濃縮できる。ミドリゾウリムシより走光性がはっきりしているので、集めやすい。ただし、移動速度が遅いせいか、ミドリゾウリムシよりも濃縮に時間を要する。
- クロロゴニウムが十分に増殖した培養液をメスシリンダーや三角フラスコに一杯に満たす。
- 熱帯魚用の濾過マットを2センチ幅に切ってロールケーキのように丸め、容器の円筒状の部分に差し込む。
- 濾過マットより上の部分を流水で洗い、その水を捨てる。
- 新鮮な培養液で満たす。
- 濾過マットより下の部分をアルミホイルなどで遮光する。
- 光を当てて4〜5時間ないし一晩静置する。
- 上層にクロロゴニウムが集まるので、スポイトで集める。
濃縮装置
三角フラスコのクビが通るように蓋に穴を開ける(下図;55mm径の孔を2つ、中心間145mmで開ける)