カメラマウントとその変換

カメラ・レンズのマウントは各社独自だが、条件が合えば、マウントアダプターを使ってマウントが違っても接続することができる。

  • レンズのフランジバック>カメラのフランジバック(*)
  • レンズの絞り・フォーカスが電源不要か、アダプターが電子連動に対応する
  • 部材が衝突しない

* マウントの接続面から焦点面までの距離。一眼レフカメラではミラーのため4〜5cmのフランジバックが必要になる。

マウントアダプターの購入、使用にあたっては、互換性をよく確認のこと。部材が衝突してレンズやカメラを傷つけたり、取り外せなくなったりする場合がある。

アダプターの品質にも注意。国産のがよい:

レンズ側 カメラ側 コメント
F EF スペースに余裕ないので、いろいろ制限あり
F E 余裕。機械式アダプターは廉価だが、絞りやフォーカスを機械的に操作できるレンズに限る
F C 絞りやフォーカスを機械的に操作できるレンズに限る
EF E 電子連動可能なアダプターがあるが、互換性注意 **
EF C 機械的には取り付くが、絞りやフォーカスは動かせない
T F 余裕
T EF 余裕
T E 余裕
T C 余裕

** 伊達淳一のレンズが欲しいッ!:電子接点付きEF-Eマウントアダプターを検証する(前編) – デジカメ Watch

Fマウント

ニコンの一眼レフのマウント。ニコンだけでも400本を超えるレンズがある。カメラだけでなく、顕微鏡や工業用カメラなどにも広く使われている。マウント内径44mm

もとのFマウントレンズは、絞り、フォーカスとも、カメラとの連動は機械式だった。最近は電子化が進んでいるが、廉価版のレンズを除いて、絞り・フォーカスを機械式に動かせる。フランジバックは46.5mmで、35mm一眼レフのマウントの中で最も大きい。これらのため、Fマウントのレンズはマントアダプターで他のマウントに接続できることが多い。逆に、他のマウントのレンズは、Fマウントのカメラに取り付けられない。

Fマウントのレンズが多く、Fマウントにもバリエーションが多数あるので、互換性には注意のこと。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nikkor_50mm_1.4G_lens_mount.jpg

キヤノン EFマウント

キヤノンのEOSのマウントで、完全電子化されている。マウント内径が54mmで、他のマウントに比べて大きい。バリエーションに、画角の小さいEF-Sマウント、ミラーレス用でフランジバックの短いEF-Mマウント、ビデオカメラ用のCN-Eマウントがある。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Canon_EF_17-40mm_f4L_USM_lens_mount.jpg

Tマウント

http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/eq/camera-lens/installation-adapter/4961607499597.html

交換レンズ用のマウントで、レンズメーカーのタムロンが開発した。同社のレンズに各マウント用のアダプターを取り付け、ニコンやキヤノンなどの一眼レフカメラで使えるようになっていた。カメラがオートフォーカス化されてから交換レンズでは使われなくなったが、現在でも天体望遠鏡や顕微鏡のカメラポート、一部の交換レンズに使われている。

ねじ込み式で、ネジ径42mm、ピッチ0.75mm、フランジバック55mm。アダプターが多種ある。

ライカのクラシックカメラのマウントM42と似ているが、M42のピッチは1mmなので、互換性はない。

ソニー Eマウント

ソニーのαシリーズ、α NEXシリーズのカメラのマウント。αはフルサイズ、NEXはAPS-Cサイズ。内径46mm。

フランジバックが18mmで、完全電子制御。Fマウント、EOSマウントともフランジバックの差が大きい。機械的な余裕を大きく取れるため、マウントアダプターが多種販売されている。特に機械式のクラシックレンズなら、アダプターも機械式で安価で、ソニーのカメラに取り付けるのが容易い。

顕微鏡にFマウントのカメラポートがあれば、F-Eマウントアダプターで取り付けられる。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sony_Alpha_ILCE-7_(A7)_full-frame_camera_no_body_cap.jpg

Cマウント

もとは16mmシネカメラ用のマウント。現在でもビデオカメラ、工業用カメラ、防犯用CCDカメラ、内視鏡、顕微鏡のカメラポートなどに広く使われている。

ねじ込み式。内径25.4mm (1in)、ピッチ0.794mm(32山/1in)、フランジバック17.526mm。他のマウントよりフランジバックが短いので、Cマウントレンズや、顕微鏡のCマウントのカメラポートに一眼レフを取り付けることはできない。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:C_mount_lens_Pentax_12mm_f1.2.jpg

ENGマウント

ソニーの2/3インチ型CCD搭載の業務用ビデオカメラで使われていたマウント。Eマウント用などのアダプターがある。

顕微鏡撮影のためのマウントの選択

顕微鏡撮影には、従来、顕微鏡専用や科学用途のCCDカメラ、クールドCCDカメラが使われてきた。しかし、現在ではふつうのデジタル一眼カメラの方が性能で上回ることが多い。高速性や定量性の求められる用途でないかぎり、そのほうが安価にセットアップできる。

顕微鏡のカメラポートに多く使われるマウントには:

  • Cマウント
  • Fマウント
  • Tマウント

がある。このうち、Cマウントはデジタル一眼カメラが取り付けられない。顕微鏡側で鏡筒や投影レンズを取り替えて、FマウントやTマウントに変更する必要がある。

顕微鏡のカタログには、システム構成図が掲載されている。これをみてFマウントやTマウントに必要な部品を選択する。

システム構成図:オリンパス社正立顕微鏡BXシリーズの例。三眼鏡筒からTマウントアダプター、あるいはF/Tマウントアダプターまでを完成すれば、デジタル一眼カメラを取り付けられる
ニコン倒立顕微鏡ECLIPSE Ti2の例:サイドポートにFマウントアダプターが付くようにすれば、デジタル一眼カメラを取り付けられる

ニコンのFマウントのカメラ、ソニーのEマウントのカメラなら、これらに取り付けられる。マウントアダプターが豊富でミラーショックがないことから、ソニーのαシリーズが好ましい。