生理学の教科書は何が良いか

2019/11/12 データ更新

生理学の教科書の評判を、日本、アメリカ、イギリスのAmazonで調べた。下が良いように思われた。『コスタンゾ』と『ガイトン』は電子版附属なので、iPadを使っているなら便利。

方法

各国のAmazonで生理学の本のカテゴリーから医学科向けの教科書を選択。翻訳書については対応する原著の最新版を調査。

考察には売れ行きとレビューを基にし、紙面をみられるときはデザインを参考にした。本の内容は読まず、読んでも考察には加えない。(調査者は生理学の専門家ではないので)

Amazonのレビューを参考にするときは、レビュー自体の質の評価も肝要だ。たとえば、Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13eの☆ひとつのレビューから:

One side has lost sound and it’s only been less than three weeks since I first used them(原文ママ、たぶんイヤホンか何かのレビューと間違ってる?;買って一週間もしないうちに片方の音が出なくなった)

received 2th edition when I ordered the 13th edition(原文ママ、たぶん12thのまちがい;第13版をたのんだのに届いたのは第2版!)

I hate college(大学なんて大嫌い!)

結果(2019/11/12現在)

タイトル 米国Amazon 英国Amazon 日本Amazon
原題 和名 評価平均 評価数 ランキング 評価平均 評価数 ランキング 評価平均 評価数 ランキング
Physiology, 6E コスタンゾ明解生理学 原著第3版 4.6 33 13,465 5 5 184,878 0 129,299
Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13E ガイトン生理学 原著第13版 4.6 108 32,427 4.9 29 21,267 3.9 3 90,478
Medical Physiology, 3e ボロン ブールペープ 生理学 4.4 28 166,768 4.7 5 192,467 4.6 5 539,863
Ganong’s Medical Physiology, 26e ギャノング生理学 原著25版 5 4 93,495 5 4 428,209 4 1 173,012
Human Physiology, 5E オックスフォード・生理学 原著第3版 0 1,252,411 0 108,011 3 1 575,935
Physiology Cases and Problems, 4E 症例問題から学ぶ生理学 原著第4版 4.9 22 634,953 4.9 22 1,610,525 5 1 346,630
BRS Physiology (Board Review Series), 7E コア生理学 原著第2版 4 5 11,700 4 39 515,687 0 1,273,131
標準生理学 第9版 4 1 65,994
生理学テキスト 第8版 5 3 27,030

同じ教科書でも国によって売れ行きに差がある。本全体の販売順位では、日本では生理学書は高くない。これに対して、英米ではよく売れている。米国ではレビュー件数が多い。日本ではレビュー件数が少ない。

日本では『生理学テキスト』、『標準生理学』、『ガイトン生理学』が最も売れていた。

『コスタンゾ明解生理学』はアメリカでよく売れており、高評価を得ている。電子版付きで便利。

『ガイトン生理学』は英米で高評価を得ており、よく売れている。電子版付きで便利。

『ボロン ブールペープ』は『ガイトン』同様に詳しいテキストで、英米で高評価。日本語版がしばらく改訂されていないので推奨は控える。

『生理学テキスト』は学習者から評価が高い。

『オックスフォード・生理学』は、英国でよく売れているが、日本及びアメリカでは売れていない。

『症例問題から学ぶ生理学』は米国で高評価を得ている。(Amazon.co.ukでのレビューはAmazon.comからの使い回し)

レビューが1件しかないので判定を控える。

日本ではレビューが1件しかないので判定不能。英米では前版の評価が低く売れていなかったが、第26版では売れ行きが向上した。評価の数値も上がったが、レビューの質が疑わしいので、判定を控える。

『BRS Physiology』は米国のUSMLE Step 1対策のテキストで、一般書と比較してもベストセラーといってよい。評価も高い。日本語版がしばらく改訂されていないので推奨は控える。

考察

生理学を学ぶための教科書としては『生理学テキスト』、『ガイトン生理学』、『コスタンゾ明解生理学』から選択するのがよいと思われる。生理学書のニーズの高いアメリカに倣うとすれば、『コスタンゾ明解生理学』を教科書に選択し、詳細な知識探求に『ガイトン生理学』を参照するのがよいのであろう。

『ガイトン生理学』の第2版は原著に比べてとても高価だったが、日本語版が日本の会社からエルゼビアジャパンに引き上げられ、だいぶ安価になった。電子書籍(日本語版と英語版の両方)が付属し、さらにお得。『コスタンゾ明解生理学』にも電子書籍が付属する。

『ガイトン』の代わりに『ボロン ブールペープ』でもよいはずだが、日本語版の改訂が遅れているので選択しかねる。日本語版の出版社は、よい本を発掘するものの改訂のペースがどれも遅れがちだ。サイエンスの進歩に合わせてがんばってほしい。

『症例問題から学ぶ生理学』は、『コスタンゾ明解生理学』と同じ著者によるものであり、合わせて利用することは理にかなうと考えられる。『コア生理学』も改訂されれば、同じ著者で、教科書、ケーススタディー、レビューを揃えて学べるのだが。

『標準生理学』は、以前は多くの内容が詰め込まれていたが、第9版では整理されたらしい。

『ギャノング生理学』(旧称『医科生理学展望』)は日本では長く使われていて、教科書指定されることも少なくないようだ。

米国の医学生の例

米国でベストセラーの3冊を使った。『ガイトン』は学部生のときにも使った(米国では学部卒業後に医学科を受験する)。

アップデート

  • 2019/11/12 データ更新。
  • 2019/7/23 『コスタンゾ明解生理学』の改訂に合わせてバナーを更新。データは更新なし。
  • 2019/4/12 バナーを更新。データは更新なし。
  • 2018/12/3 『症例問題から学ぶ生理学』の改訂を反映。データも更新。
  • 2018/2/2 『ガイトン生理学』の改訂を反映。
  • 2018/1/21 ボロン=ブールペープを追加。改訂を反映。Amazonのデータを更新。
  • 2016/2/2 記事のレビジョンがふるいものと置き換わっていたのを2015/11/24のものに戻した。『オックスフォード生理学』の改訂を反映(データはもとのまま)
  • 2015/11/24 YouTubeのビデオを追加
  • 2015/3/20 データ更新
  • 2014/6/19 3件更新
    • 『生理学テキスト』『標準生理学 第8版』『ギャノング生理学 原書24版
  • 2013/2/21 最初の投稿

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Otto Loewi in the Institute of Pharmacology in Graz, Austria, with equipment