プロメテウス解剖学エッセンシャルテキスト 第2版
『プロメテウス解剖学エッセンシャルテキスト』は、解剖学の教科書。美しいイラストで知られた『プロメテウス解剖学アトラス』の図版が使われていることが最大の特徴である。
原著の改訂に伴い、日本語版も改訂された。原著と日本語版の版の番号がずれている。実は、原著第1版から日本語版がでていた(南江堂)ので、日本語版も同じ番号にしてもよかった。
第2版(原著第3版)の大きな変更点は、次の通り。前版から本書を使っているなら、買い換えた方がいいと思えるだけの変更だ。
- 全体の構成が『プロメテウス解剖学コアアトラス』と揃えられた
- 図版が100点ほど追加された
- 臨床医学と発生学の囲み記事が追加された
- 排便調節、手関節などの項目が追加された
- 医用画像が更新・追加された
- USMLE形式の確認問題が追加された
特徴はオビにあるとおり。まず、『プロメテウス解剖学アトラス』から継承された、美しいイラスト。
イラストレーターは、WeskerさんとVollさん。Weskerさんが主に運動器と神経系、Vollさんが内臓を担当している。高精細でリアルながら、現実とはかけ離れているくらいクリーン。観念的なイラストだ。
イラストであれば手描きのタッチ、写真なら標本のささくれというような、認知を妨げる「ノイズ」が少なく、形態を見て理解するのが容易い。
説明文は、ほぼ全部が箇条書きになっている。所々に入っている訳注が、言葉足らずな部分を的確に補っている。
イラストは小さめで、余白も少ないので、全体に高密度な構成だ。冊子のボリュームは『グレイ解剖学』の2/3くらいだけど、情報量は十分。
胸腹部のところを少しみていこう。高精細な解剖図、模式図、医用画像が多用され、ビジュアルに解剖を理解できる。臨床的に重要なポイントもおさえられている。本書独自の解剖図が多く、見応えがある。
ひとつだけ、不具合をみつけた。外精筋膜は外腹斜筋腱膜と連続しているはずだが、図では浅被服筋膜(Scarpa筋膜と外腹斜筋との間にある薄い結合組織層)と連続して描かれている。説明文では外腹斜筋腱膜と記載されている。ここは、『グレイ解剖学』や『グレイ解剖学アトラス』の図を参照されたい。また、『イラストレイテッド外科手術』の解説は楽しく読めるので、併せて確認されたい。
本書の電子書籍は、『プロメテウス解剖学コアアトラス』とともに医書.jpにある。併せて使うといい。しかし、冊子体とは別売りなのが困る。『グレイ解剖学』、『グレイ解剖学アトラス』、『ネッター解剖学アトラス』 のように、冊子にライセンスが付属しているといいのだが。
そうなれば、自宅では冊子体で予復習し、実習中はiPadに入れた電子版を参照、という環境ができる。本学では8〜9割の学生がiPadを使っているので、ぜひ考慮いただきたい。
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