基礎から学ぶ統計学/カエル教える 生物統計コンサルテーション
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スタンフォード大学の大学院生の日常を描いたコミックストリップ「PhD Comics」の映画化作品「The PhD Movie」のスミス教授が、所属先にあぶれた院生に言う:
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そして、バカげて聞こえるかもしれないが、大学の授業にもそういう断層は見え隠れしている。
こんな話がある。ある理工系の大学にいた優秀な学部生が「電磁気学を再構築」すると言い出した。電磁気学の歴史は長く、因習を引きずったようなちょっと面倒な部分はあるかもしれず、そこを整理しようと思ったのかもしれない。ブルバキの「数学原論」のようなことをやろうとしたのかもしれない。そして精神を病んでしまった。
そこまではいかないにしろ、ドロップアウトして苦手なままになっている科目はだれにでもあるだろう。医学部なら例えば、膜電位とか、心電図とか、統計学とか、統計学とか。
つまり、「この先危険!」と学習者を遮りながら、ていねいにガイドしてくれるメンターが、そういう授業には大切なのだ。
本書の著者は、北大農学部で20年間にわたり統計学の授業を担当し、名物授業になったという。それを独習できるテキストとして企画され、原稿を実際に授業で使いながらブラッシュアップして10年を経てできたのが、本書だ。
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はじめに
特色は、図が多用されていること、実践的であること、数学を易しくすること — こういっても、多分何も伝わらない。同じことを主張する統計学の入門書は、他にもたくさんあるから。本書はこれらの程度がハンパない、そういったらいいだろうか。ユニコーンといったらわかるだろうか。
図は実際、大量にある。グラフや模式図があるだけでなく、ストックフォトもたくさん使われている。
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ストックフォトがたくさん
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試行を全部図にする
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標準化とスチューデント化を全部グラフにする
実践的であるというのは、これ以上はがんばっても理解不能なポイントを明示していることが一つ。統計学はハンパない天才と、専門の数学者の膨大な議論とでできてきているので、一般ピープルの直感では掴みにくいところが多々ある。それでも、理解可能な範囲でていねいに説明してある。
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自由度はがんばってもわからない
素人考えで、帰無仮説まわりを例えば関西弁にしたらわかりやすいかもと思いついた:
- そんなん、同じちゃうの?(帰無仮説)
- んなことないわ!(帰無仮説が棄却された)
- ようわからん — わからんのか〜い! (帰無仮説が棄却されなかった)
…やはり小手先では結局わからない。本書では、このあたりもグラフを多用して、一章分使って説明されている。
もうひとつ実践的なのは、統計学書の慣習によらず、話を理解可能なところから始めていること。たとえば、統計手法の最初は二項検定。その次は、Wilcoxon-Mann-Whitney(WMW)検定。WMW検定はノンパラメトリック法なので、ふつうの統計学の入門書では扱われないか、扱われても後の方に出てくる。しかし汎用で強靱な検定法だ。そんな特殊な手法にもかかわらず、しくみはt検定などより理解しやすい。
数学は高校数学の範囲まで。すこし難しい部分はWeb素材に掃き出してあり、もっと難しい部分は、省略されている。そのかわりに繰り返し練習して慣れ、感じは掴めるようになっている。
![大学院生](https://i0.wp.com/anatomy.med.gunma-u.ac.jp/wp-content/uploads/2023/06/00337-3108748435.png?resize=96%2C96&ssl=1)
![スミス教授](https://i0.wp.com/anatomy.med.gunma-u.ac.jp/wp-content/uploads/2023/06/00328-2195089185.png?resize=96%2C96&ssl=1)
本書はまあ、そういう話だ。統計学自体というより、統計でデータをまとめる前提からスタートして実験を計画する心得の指南だ。
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サンプルの数が少ないけど結果は出したい
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サンプルの数がどうこう以前に計画を立てよう
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研究の輪をまわす
まあ、本書にある話はリアリティがありすぎて恐い。すぐ思い出せるだけでもいくつか事例が…
本書の初回配本分には特別付録の別デザインカバーが付属していた。
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別デザイン
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