Imaging Atlas of Human Anatomy 6E / Sectional Anatomy by MRI and CT 4E

画像解剖学のアトラスを2冊紹介しよう。

Weir & Abrahams’ Imaging Atlas of Human Anatomy

『Imaging Atlas of Human Anatomy』は、英米ではよく使われている画像解剖学アトラスで、昨年改訂されて第6版になった。前々版には日本語版がある。

タイトルに冠されている監修者の一人、Weir氏は放射線科医、もう一人のAbrahams氏は解剖学者だ。Abrahams氏は『人体解剖カラーアトラス』にも参画していて、その名前がタイトルに冠されている。(Abrahams氏は書名に自分の名前を入れるのが好きなのかも。)

医学生向けの解剖学教育では、世界的に画像解剖学・画像診断学を伝統的な解剖学に統合したカリキュラムが使われている。教科書・参考書もそれを反映したものが多く出版されている。本学の授業で多く使われている『グレイ解剖学』がその代表的なものだろう。『グレイ解剖学』もまた、放射線科医と解剖学者とで監修されている。

『Imaging Atlas of Human Anatomy』も、このような解剖学教育で利用されることを意図されている。

解剖学教育におけるイメージングの役割
1960年代以降、画像診断は医学解剖学教育の分野でますます重要な要素となってきており、今日ではほとんどの学術的なカリキュラムにおいて解剖学教育の一部として組み込まれているが、その方法は非常に多岐にわたり、時間配分や内容、配信方法にもかなりの違いがある。医学生は、早期に放射線医学に触れることは、解剖学的な教育だけでなく、キャリアにとっても有益であり、特にマルチモダリティ画像技術に早期に触れることは有益であると全員が同意している。特に、臨床画像チュートリアルは、解剖学教育を強化することが科学的に示されており、本書に添付されているような自己指導型の放射線学チュートリアルは、医学部の全課程、ジュニアドクターのトレーニング、そしてそれ以降に至るまで、柔軟な環境での学習ソリューションとしてますます有望になってきています。(DeepLで機械翻訳)

 

医用画像の解剖学教育と画像診断学での有用性

 

最重要項目は、臨床関連の電子コンテンツに関係するところには聴診器のアイコン、解剖学実習に関連するポイントはメスのアイコンで示される。

 

アイコン

 

本書には豊富な電子コンテンツが附属していて、冊子と電子コンテンツを合わせて学べるように設計されている。StudentConsultにアクセスして冊子に附属しているコードを使うと、冊子の全文に加えて、豊富な電子コンテンツにアクセスできるようになる:

  • radiograph slidelines:医用画像に主要な構造をマークした図
  • image stacks:CTなどの連続スライス
  • multi-tier labelling slideshows:画像上の構造を同定する練習
  • ultrasound videos:超音波のムービー
  • single best answer questions:択一式の臨床問題
  • anatomical variant lists:解剖学変異のリスト
  • selected pages from 4th edition:第4版からの抜粋
  • pathology tutorials:画像上の異常がどういう病変を反映しているかのチュートリアル

 

豊富な電子コンテンツの説明

 

電子コンテンツの一部

 

冊子体で胸部の章をみてみよう。単純X線写真、CT、MRI、アンジオグラフィー、ボリュームレンダリングなど、多様なモダリティーの画像を一覧できる。画像上で解剖学的構造が細かく同定されていて、番号で示されている。ひとつの画像に数十のラベルが付いている。大きな判型の見開きを3方向の連続スライスが埋めているのは圧巻だ。

 

胸部単純X線写真

 

水平面造影CT連続スライス

 

冠状面造影CT連続スライス

 

矢状面造影CT連続スライス

 

水平面造影CT連続スライスには肺野条件と縦隔条件の両方が示される

 

MRアンジオグラフィーとサブトラクションアンジオグラフィー

 

CTアンジオグラフィーからのボリュームレンダリング(右)

 

心臓CTからのボリュームレンダリングと、冠動脈造影

 

本書はほぼ全身をカバーしていて、それぞれの部位でよく使われているモダリティーの画像が掲載されている。ただし、整形外科領域の医用画像(特にMRI)や、エコーの多く使われる領域(心臓、産婦人科、肩関節など)の画像は少ないか、省かれている。これらだけでも1冊分くらいの分量にはなりそうだから、他の参考書を使うのがよいということだろう。

 

CTをMRIからの脳動脈造影

 

脳のMRIをいろいろなモードで

 

頭蓋骨の高解像CT

 

手根骨年齢

 

X線とエコーによるマンモグラフィー

 

心臓PET

 

fMRI

 

脳のトラクトグラフィー

 

Sectional Anatomy by MRI and CT

本書も医用画像のアトラスだが、整形外科領域にフォーカスされている。従って、モダリティーもほとんどがMRIだ。

それぞれの画像について、解剖学的構造が細かく同定されていて、ラベルが付されている。系統解剖ごとにラベルが色分けされている。一般には同定の難しい神経にもラベルが入っている。章末に骨格筋の表がついているのが、いかにも整形外科領域らしい。

 

上肢帯のMRI

 

膝のMRI。脛骨神経にもラベルが入っている(右下)

 

骨格筋の表

 

胸腹部に関してはMRIに加えてCTの画像もあるが、多くはない。CTの参照には『Imaging Atlas of Human Anatomy』のほうが役に立つ。

 

CTが一部にある

 

本書にはExpertConsult上のコンテンツが付属している。内容は冊子体と同じもので、追加のコンテンツはない。