画像診断ドリル〜救急医と放射線科医が伝授する適切なオーダーと読影法

本書の序文にある:

初学者が画像診断を上達させるには、解剖や疾患の知識を系統的に習得し、経験を重ねることが最も近道

知識を増やすには教科書が欠かせないけれども、経験から学ぶにも良いガイダンスが必要だ。本書は41の症例を鑑別診断しながら、画像診断の経験をより精緻にする心がけを学べる。

解剖を勉強しただけでも、理解できることは多いはず。CRPやら白血球数やらを追加でググれば状況を掴める。帰省を控えているなら、試しに練習してみよう。ちなみに、本書は放射線診断学の授業で推奨されているテキストのひとつだ。

すこし触りをみてみよう。

最初の症例は男性で、突然の頭痛があったが、なぜか頭部CTの撮影まで6日空いた。ヘビースモーカーで、高血圧を放置していたとのことから、くも膜下出血を疑うところまではいけそうだ。出血となればCTでわかりそうだけれども、さて…

それらしい高吸収域がみえない。出血ではないのか? 何か見落としていないだろうか?

症例提示

 

次の症例は胸部の章から。

新型コロナウイルス以来、間質性肺炎やそのCT像をマスコミでも見聞きすることになった。本書はコロナ以前の本だけれども、それらしい症例をみてみよう。

この患者は、もともと間質性肺炎で通院している。このひともヘビースモーカーだ。数日前から倦怠感と発熱があり、呼吸が苦しくなったという。

胸部単純X線で肺野に網状影がみえているという(印刷では網状にはみえないが、以前より吸収が増しているのはわかる)。心胸郭比は大丈夫そうだ。

 

胸部単純X線

 

胸部単純CTでは、肺野にすりガラス影がある。末梢に強く表れているようにもみえる。新型コロナウイルスのCTでよくみた気がする。いまなら、すわ、新型コロナか? というような状況だけれども、このときなら何が考えられるだろう。

 

胸部単純CTですりガラス影

 

こういう症例が、体の領域ごとに分類されている。