Human Anatomy, Color Atlas and Textbook, 6e
Human Anatomy, Color Atlas and Textbook, 6e
写真によるアトラス。すべての写真にスケッチが付されていること、教科書的な説明文もあることが特徴。
状態のよい解剖体が緻密に解剖されており、撮影技術も優れている。さらに次のような工夫が施され、写真を読み取るのがたやすくなっている。
すなわち、写真のそれぞれにスケッチが付けられていて、部位や構造の名称はスケッチの方に引出線で示される。重要なものや写真では境目のハッキリしないものは、スケッチに彩色して明示してある。また、写真の向き(背腹や左右など)も示されている。写真にはラベルが何も入れられていないので、スケッチの方を隠せばそのままクイズになる。
図版(figure)の数を数えると全部で633で、『ネッター解剖学アトラス 原書第5版』(531)の1.2倍になる。ただし、他のアトラスではいくつかのイラストや写真を組み合わせて一つの図版にすることも少なくないが、本書は一葉の写真ごとに図版になっている。
章 | 図版の数 | |
---|---|---|
1 | 解剖学の基礎 | 40 |
2 | 胸部 | 74 |
3 | 上肢 | 109 |
4 | 腹部 | 112 |
5 | 骨盤部と会陰部 | 47 |
6 | 下肢 | 109 |
7 | 頭部と頸部 | 103 |
8 | 背部 | 39 |
計 | 633 |
アトラスとしては教科書的な説明文が豊富だ。座学なら独立した教科書のほうがよいだろうが、実習中の参照には便利かもしれない。図の見所の解説にもなっている。
文章があっても図の大きさは損なわれていない。『グレイ解剖学アトラス』のような、見開きに原寸大でレイアウトされるようなことこそないけれども、類書の『A Photographic Study of the Human Body』と同じくらいだ。本書の判型がほかの解剖学書より大きいことが、それを助けているようだ。
この改訂では、臨床的な内容が強化された。章末には練習問題がある。「Exam Skills」は5択問題。「Clinical Case Skills」は症例問題。
医療画像も増強された。章末問題に続いて「Observation Skills」として、CT、MRI、X線の画像が、それぞれのスケッチ、対応する解剖体断面の写真、そのスケッチとならべて示される。専門のアトラスほど豊富ではないけれども、実習の参考には役立つ。
ほかのElsevierの教科書と同じく、Student Consult対応だ。iPadなどで全文をみられる。
ところで、本学の解剖学の既習生は、本書に特別な意味を見いだすのではないだろうか。実地試験の出題に利用されることがあるから。
原著第4版には邦訳もあった。
コメントを投稿するにはログインしてください。