クエスチョン・バンク CBT 2017

医学系CBT対策の問題集。解剖学の問題も少なくない。
全国の医学科で在学中に共通して課される試験が、医師国家試験のほかに2つある。CBTとOSCEだ。いずれも臨床実習開始前に課され、臨床実習に進む必要条件になる。本学では4年生が受験する。
CBTはコンピュータを使って実施される。CBTとOSCEを統括する「医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)」がCBTの問題をたくさんプールしていて、受験者の一人ひとりに対して、ランダムにプールから選ばれた問題が画面上に出題される。プールは随時更新されている。
出題範囲は基礎医学から臨床医学(ただし診断までで、治療は除く)に及び、解剖学・発生学・組織学からの出題も多い。臨床医学でもこれらがわかれば解ける問題も少なくない。
プールの問題は非公開だし、受験者は試験中にメモをとることを禁じられているので、正規の「過去問」は存在しない。そこで、国試対策の会社は、受験者の記憶を元に問題を再現している。本書はそのような「復元問題」の問題集だ。
全5巻あり、毎年改訂されている。第1〜4巻が3月末に、追補の5巻が9月に発行される。第1〜4巻は問題のタイプによって分けられている。「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の各項目と巻・問題番号との対応表が、各巻の巻頭にある。これを見ながら使えば、解剖学などの勉強にも役立つ。
第1巻には細胞生物学と発生学、第2巻には解剖学、組織学、画像診断学の問題をみつけることができる。問題のそれぞれに、選択肢の解説、全般的な解説がある。
CBT対策には4年生になる年の3月に最新版を買うのがよいけれども、解剖の授業のときにも図書館でみるなり、数年落ちの安価な古書を使っておけば、解剖の勉強の目安になるだろう。
本書にはネット上のコンテンツへのアクセス権がついていて、iOSやAndroidのアプリで冊子と同じ問題を練習できる。また、CBTの模試を1回受験できる権利も付属している。
あくまでも受験者の記憶に頼った再現問題なので、掲載された問題が必ずしも実際のCBTどおりとは限らない。作問のルールとは外れているのも少しあるようだ(明らかに誤りとわかる選択肢をつくらない、選択肢のカテゴリーを同じに揃える、選択肢を何らかのルールでソートする、など)。

巻・問題番号とコアカリとの対応表。細胞生物学は第1巻にある。

発生学も第1巻。

解剖学は「正常構造」として2巻に多く含まれる(第3・4巻にも少しある)。

第1巻の心房中隔の発生に関する問題。ここにいう「胎生」の起点は、最終月経(産科学の場合)ではなく受精時(発生学)のようだ。二次口は二次孔の誤り。

第2巻のタバチエールの問題。この話題は『グレイ解剖学』にもある。

第2巻、肺区域の問題。aの選択肢は肺区域ではないので、実際のCBTの作問なら修正が入りそうだ。

第2巻の画像診断の問題。解剖学の授業で見慣れていれば正解は推定できる。

コンテンツへのアクセス権つき。期限が4月1日から翌年3月31日の1年間だけ。

iPhoneのアプリで問題演習。