生理学の教科書は何が良いか

Dr. Arthur C Guyton and Dr. John Holl (From The University of Mississippi Medical Center @UMMCnews)

生理学の教科書の評判を、日本とアメリカのAmazonで調べた。下が良いように思われた。『コスタンゾ』と『ガイトン』は電子版附属なので、iPadを使っているなら便利。

コスタンゾ明解生理学 原著第6版 電子書籍付(日本語・英語)

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標準生理学 第9版 (Standard Textbook)

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症例問題から学ぶ生理学 原書4版

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方法

各国のAmazonで生理学の本のカテゴリーから医学科向けの教科書を選択。翻訳書については対応する原著の最新版を調査。

考察には売れ行きとレビューを基にし、紙面をみられるときはデザインを参考にした。本の内容は読まず、読んでも考察には加えない。(調査者は生理学の専門家ではないので)

売れ行きは、時期による変動が大きい。

評価(★の数)については、個々の本について各国のAmazonからの評価が統合されている。そのため、英語の原著については米英など原著が使われる各国の評価が加えられている。ランキングは国ごとのデータが表示される。

Amazonのレビューを参考にするときは、レビュー自体の質の評価も肝要だ。本の内容自体ではなく、古書の状態や配送についての評価になっていることがある。端的に「Excellent!」など形容詞に感嘆符が付いているだけのレビューは無視したい。米国の教養課程でも使われることの多い本では、これらの傾向が強い。たとえば、Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13eの☆ひとつのレビューから:

One side has lost sound and it’s only been less than three weeks since I first used them(原文ママ、たぶんイヤホンか何かのレビューと間違ってる?;買って一週間もしないうちに片方の音が出なくなった)

received 2th edition when I ordered the 13th edition(原文ママ、たぶん12thのまちがい;第13版をたのんだのに届いたのは第2版!)

I hate college(一般教養課程の学生と思われる;大学なんて大嫌い!)

結果(2023/9/12現在)

タイトル

米国Amazon

日本Amazon

原題

和名

評価平均

評価数

ランキング

評価平均

評価数

ランキング

Physiology, 7E コスタンゾ明解生理学 原著第6版

4.8

66

31,369

4.5

26

92,897

Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 14E ガイトン生理学 原著第13版

4.8

591

24,148

4.7

41

119,150

Ganong’s Medical Physiology, 26e ギャノング生理学 原著26版

4.5

391

341,236

5

4

442,355

Human Physiology, 5E オックスフォード・生理学 原著第4版

4.6

51

4,074,742

4.5

6

656,905

Physiology Cases and Problems, 4E 症例問題から学ぶ生理学 原著第4版

4.5

59

788,499

5

12

30,935

BRS Physiology (Board Review Series), 8E

4.7

18

56,408

標準生理学 第9版

4.8

57

45,526

生理学テキスト 第9版

3.8

14

212,654

同じ教科書でも国によって売れ行きに差がある。米国からの評価件数、レビュー件数が多い。日本ではいずれもが少ない。

日本では『標準生理学』、『コスタンゾ明解生理学』、『ガイトン生理学』がよく売れている(順位は時期により変動する)。

 

コスタンゾ明解生理学 原著第6版 電子書籍付(日本語・英語)

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リンダ・S・コスタンゾ
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『コスタンゾ明解生理学』はアメリカで最もよく売れている生理学書で、評価数が多く、高評価を得ている。類書の中では最も安価。電子版付きで便利。

 

標準生理学 第9版 (Standard Textbook)

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本間 研一
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第8版までは内容が詰め込みすぎと懸念する評価がみられたが、第9版で内容が整理されたようだ。高評価を得て、日本では最もよく売れている。

 

症例問題から学ぶ生理学 原書4版

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『症例問題から学ぶ生理学』は高評価を得ている。ケーススタディーのテキストなので、過去問のスタイルに合っているかは確認したい。

 

ガイトン生理学 原著第13版

ガイトン生理学 原著第13版

John E. Hall
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『ガイトン生理学』は米国で高評価を得ており、よく売れている。電子版付きで便利。

 

オックスフォード·生理学 原書4版

オックスフォード·生理学 原書4版

Gillian Pocock
10,780円(02/28 20:53時点)
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『オックスフォード・生理学』は、少しよい評価ではあるが、米国では全く売れていない。

 

生理学テキスト 第9版

生理学テキスト 第9版

大地陸男
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『生理学テキスト』は単著で小さめの教科書。

 

ギャノング生理学 原書26版

ギャノング生理学 原書26版

キム・イー・バレット, スーザン・エム・バーマン, ヘドウェン・エル・ブルックス, ジェイソン・エックス・ジェイユアン, 岡田泰伸, 佐久間康夫, 岡村康司
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米国では前版の評価が低く売れていなかったが、第26版では売れ行きが向上した。評価の数値も上がった。しかし、一般教養課程で使われるらしく、古本の状態の評価や、質の疑わしいレビューがほとんどだ。購買層を広げたのかもしれない。

 

コア生理学

コア生理学

LindaS. Costanzo
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『BRS Physiology』は米国のUSMLE Step 1対策のテキストだが、一冊目の教科書として選ばれることも多いようだ。かつて日本語版があった。

 

考察

 

日本のAmazonではレビューが少ない。そのため、日本にしかない教科書では、評価の平均と数を参考にせざるを得なかった。

米国では教科書の古書のマーケットが大きい。一般教養課程では、レンタルや古書が使われることが多い。価格の異様に高い米国版と、安価な国際版(米国内では販売が制限されている)が用意されている教科書は、そのようなものと考えてよい。そのような教科書のレビューには質の低いのが散見されがちだ。

生理学を学ぶための教科書としては、『コスタンゾ明解生理学』、『標準生理学』、『ガイトン生理学』から選択するのがよいと思われる。生理学書のニーズの高いアメリカに倣うとすれば、『コスタンゾ明解生理学』を教科書に選択し、詳細な知識探求に『ガイトン生理学』を参照するのがよいのであろう。『ガイトン生理学』の代わりに『標準生理学』でもよさそうだが、電子版の附属する『ガイトン』に利がある。

『ガイトン生理学』、『標準生理学』は、教科書としては大きなものになる。授業期間中に読みこなせるかどうかは冷静に判断されたい。

『生理学テキスト』は、内容が絞られているのが特徴と思われるが、本のボリューム自体は『コスタンゾ明解生理学』と大差ない。電子版が附属する利便性では『コスタンゾ明解生理学』が勝るだろう。

『症例問題から学ぶ生理学』は、『コスタンゾ明解生理学』と同じ著者によるものであり、合わせて利用することは理にかなうと考えられる。

『ギャノング生理学』(旧称『医科生理学展望』)は日本では長く使われていて、教科書指定されることも少なくないようだ。しかし、原著の状態は芳しくない。選択するならよく注意して内容を吟味されたい。

 

米国の医学生の例

 

米国でベストセラーの3冊を使った。『ガイトン』は学部生のときにも使った(米国では学部卒業後に医学科を受験する)。

アップデート

  • 2023/9/12 データ更新。推奨を入れ替え。
  • 2023/2/15 バナー更新。データは変更なし。
  • 2020/12/22 データ更新。英米Amazonでratingが統合されたので、英国の項目を削除
  • 2019/11/12 データ更新。
  • 2019/7/23 『コスタンゾ明解生理学』の改訂に合わせてバナーを更新。データは更新なし。
  • 2019/4/12 バナーを更新。データは更新なし。
  • 2018/12/3 『症例問題から学ぶ生理学』の改訂を反映。データも更新。
  • 2018/2/2 『ガイトン生理学』の改訂を反映。
  • 2018/1/21 ボロン=ブールペープを追加。改訂を反映。Amazonのデータを更新。
  • 2016/2/2 記事のレビジョンがふるいものと置き換わっていたのを2015/11/24のものに戻した。『オックスフォード生理学』の改訂を反映(データはもとのまま)
  • 2015/11/24 YouTubeのビデオを追加
  • 2015/3/20 データ更新
  • 2014/6/19 3件更新
    • 『生理学テキスト』『標準生理学 第8版』『ギャノング生理学 原書24版』
  • 2013/2/21 最初の投稿

アイキャッチ画像:
Otto Loewi in the Institute of Pharmacology in Graz, Austria, with equipment