ハンマーを買う

腱反射に使うハンマー。打診器、打腱器ともいう。英語では、reflex hammer、neurological hammerなど。いろいろなタイプがあり、開発した医師の名前で呼ばれることが多い。

臨床実習では病院にあるのを借りるかもしれないが、練習には自分のも必要。そして、練習しないと上手にはできない。

OSCEの評価項目から:

膝蓋腱反射 □ 膝関節が120~150 ゚の角度となるように、両膝窩を左腕で下から軽く支える。 □ 膝蓋腱を手指で確認し、その部位をハンマーで叩く。 □ 必ず両側を検査する。

従来、足底反射や触覚検査にまたハンマーの柄や付属の部品が使われてきたが、OSCEでは非推奨。

Babinski(バビンスキー)徴候の検査具には、従来、ハンマーの柄などが用いられてきたが、皮膚の損傷や感染予防の観点から楊枝の頭部など、ディスポーザブルなものを使用することが望ましい。

レビュー

テイラー Taylor

安価で、もっとも普及している。米国ではその形状から、トマホークtomahawkとも呼ばれる。米国ペンシルバニアのJohn Madison Taylorが1888年に開発。打診一般ではなく腱反射を目的としたハンマーとしては最初という。

持ち歩くのに向いている。小型で軽い。軽すぎて反射は比較的出にくいとされる。ハンドルの終端が尖っていて、足底反射に使える(OSCEでは非推奨)。ここが尖りすぎている製品が多く、いくら足底の皮膚が厚いとはいえ痛い。ゴムの部分が、シリコンゴムになっているもののほうが、劣化が少ない。日本では「米式」として売られていることがある。

 

打診器(テーラー)白 Z181-825A(19CM)

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バビンスキー Babinski

長くて硬い柄の先に、タイヤのような形のものが付いている。比較的反射を出しやすいとされる。

フランスの神経科医Joseph Babińskiが1912年に開発。米国人のAbraham Rabinerによって米国にもたらされて改変されたバージョン(タイヤがネジ止めになり、向きが変えられるようになった)をRabiner-Babinskiということがある。携帯用に柄を伸縮できるタイプもある。日本では、製品名が「バギンスキー」とあるのが多い(*)。

* 日本の医療用品販売業社は外来語に弱いのだろうか、製品名のテキトーなのが目立つ

 

打診器(バギンスキー式(伸縮)) SM507

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クイーンスクエア Queen Square

バビンスキーと似ているが、柄がしなる。しなりを利用して上手くたたけるという意見がある一方、狙いを定めにくいとの感想もある。

この名は、最初に使用されたNational Hospital for Nervous Diseasesがロンドンのクイーンスクエアにあったことから。同病院で働いていた女性看護師Miss Wintleが考案したといわれる

日本で「ラビナー式」、「ロシア式」として売られていることがあるが、Rabinerもロシアも関係ない。

 

打腱器(ラビナー式) CK-504

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トレムナー Trömner

金属またはプラスチックの柄に、大小2つのラバーが付いている。反射が出しやすいとされ、米国で人気がある。ドイツの神経科医Ernst Trömnerによる。レビュー

 

バック Buck

トレムナーに似ている。針と筆が仕込まれている。

「Buck」が誰なのか、あるいは何なのか、文献上では調べがつかなかった。米国のタレントSteve AllenがBuck Hammerという別名でアルバムを出した(CD化されていない)ことはあるが、医師ではないし、打診器の名称になる理由もない。

カラー打腱器(バックハンマー氏) クロ メドライフ

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デジュリン Dejerine

フランスの神経科医Joseph Jules Dejerine氏の考案した打腱器。円柱型のゴムに柄が付けられている。

カラーフレックス_ラージ打腱器 _知覚針付_ブルー

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ベルリナー Berliner

ドイツのBernhardt Berliner氏の開発した打腱器。国内ではほとんど見かけない。斧のような形だが、扱いやすいとの意見もある

 

工藤式打腱器

日本の神経外科医の工藤達之氏が考案。反射を出しやすい打腱器として、日本で人気が高い。柄が金メッキされていて、「ゴールデンハンマー」と呼ばれることが多い。1万円くらいで、金メッキなりの価格。レビュー

 

参考文献:

アイキャッチ画像:Wikimedia