ユニバーサル基板を収めるための箱型のアクリルケースを設計・組み立てる。ネジ止めだけで完成するように計画する。描画にはGraphicを使用。レーザー加工機はSmart Laser CO2。
基板の製作
ユニバーサル基板を適当な大きさに切り出し、端面をハンドリュータで滑らかにする。ランドを利用して、ハンドリュータに取り付けた3mm径ドリル刃で四隅に孔を開ける。外形と孔の位置を記録し、回路を実装する。
ケースの設計
Graphicで新規書類を作る。このとき、0.1 cm間隔で10目盛りごとの太線のグリッドを設定する。
基板の外形を灰色で描き、そこに孔を赤の円で描く。スイッチなどがあれば、その孔も描いておく。実寸の1 mmほど大きな孔がよい。赤は最初に加工する孔などの線に使う。
基板を囲むように、2~3 mmの余裕を空けて、灰色で四角を描く。これが内寸になる。その外側に板材の厚さの分だけ大きく灰色で四角を描く。これが外寸になる。これらの灰色の線は目安に使うだけで、加工しない。
さらに2~3 mmの余裕を空けて、みどり色で四角を描く。これが天板になる。みどり色の線は、孔などの加工が済んでから切る線になる。
ねじ穴の円と天板の四角を選択し、option-ドラッグで適当なところに複製する。これが底板になる。
みどり色の四角で、側板を4枚描く。相対する2枚の側板については、板材の厚さ分だけ幅を詰めておく。先ほど描いた天板を目安に描くと間違いにくい。側板の高さは、次を加算して決める。
- 部品の高さ分のスペーサー(プッシュスイッチの孔を開けるときは、スイッチが押された時に少し出るくらい)
- 基板の厚さ
- 基板の下に置くスペーサー(5 mm)
板材の厚さと同じ幅の細長いみどり色の四角を描き、側板の上下の辺に接するよう、横方向中央に1つづつ配置する。これが突起になる。
同じものを天板と底板にも描く。これがほぞ穴になる。位置が食い違わないよう注意すること。
ここで表示を拡大し、線がグリッドに沿っているか、位置が合っているかなどを確認し、ずれていれば修正する。
側板の四角と突起になる四角とを選択し、「パスを結合」で一つの部品にする。
天板と底板のほぞ穴の四角を選び、線を赤にする。グリッドを0.01 cm間隔に設定し、ほぞ穴の四角を前後左右とも0.1 mmだけ拡大する。
文字を入れる場合、細いフォントを使うとよい。仕上がりの段階でアウトライン化する。文字は黒い線のアウトラインになる。透明なアクリル板を使う場合、裏側から文字を入れた方が美しく仕上がる。部品ごと選択して反転し、文字を鏡像にしておく。
Smart Laser CO2の作業台は間隔が広いので、小さな部品が加工の途中で板材から外れて落ち、不意にレーザーが当たって部品を壊すことがある。そうならないようにするには、部品の外形の線に0.1 mmのギャップを作っておく。線を選択し、ペンツールの中のハサミを使う。
すべての部品ができたら、それぞれをグループ化する。無駄な空間ができないよう、画面上に部品を並べる。同じ直線は接してもよい。長さなどが異なる線は1 mm空ける。書類の左上に全体の角がくるようにすると、レーザーの初期位置から加工が始まる。
できあがったら、SVGで書き出す。
加工
FireFoxでSmart Laser CO2にアクセスし、SVGファイルを読み込む。
位置合わせを念入りに行い、無駄や欠けができないようにする。板材に収まらないようなら、Graphicに戻り、部品の配置を修正する。
2 mmの透明アクリル板なら、次の条件で加工する。スピード / レーザー強度
- 黒:1000 / 5%
- 赤:1000 / 30%
- 緑:1000 / 30% 赤:1000 / 30%
- 緑:1000 / 30%
組み立て
スペーサーはネジの切ってあるものが扱いやすい。
5 mmのスペーサーを底板にネジで取り付ける。ネジの長さは、基板を置いた時にネジ先端が数ミリ出るくらい。基板を置き、上側のスペーサーを取り付ける。
側板を底板のほぞ穴に取り付け、その上に天板を取り付ける。上側のスペーサーにネジで天板を固定する。
失敗によるアクリル板の無駄を減らす
アクリル板を加工する前に、ボール紙などの安価な材料で作成し、組み立ててみると良い。