からだがみえる
「病気がみえる」、略して「病みえ」シリーズの解剖生理学のテキスト。mediLinkの電子版で紹介しよう。
「病みえ」の他の本と同様、イラスト、挿絵、グラフ、表をたくさん使って、ビジュアルに解剖学・生理学を理解できるように工夫されている。文章による説明は少しだけ。この本自体が、大きなまとめノートのようなものだ。VARKでビジュアルのスコアが高いひとなら、楽しく学べる。
とはいえ、ビジュアルだけでは説明しきれない理屈やストーリーや事情もあるのは、わきまえておこう。
メディックメディア社の書籍制作はプロダクション方式だ。社内にライターやイラストレーターを擁していて、医学系・医療系出身の社員も多い。社長は医師・医学博士だ。書誌情報の上での制作者は「医療情報科学研究所」になっている。本ごとに多数の外部の監修者(医師・研究者など)がいて、情報の正しさが保証されている。本書でもパートごとに監修者がいる。監修者自身が記事を企画している場合もあるようだ。
mediLinkストアで電子版を購入すると、mediLinkアプリに表示される。
本をタップすると、目次が表示される。解剖生理学のテキストらしく、系統別になっている。イントロダクションには目を通しておこう。本書を使う参考になる。
紙面の見方が冒頭にある。電子版とはレイアウトが違い、ページの端の色付きのカラムが文末に移動している。冊子体のページを目安にジャンプできないのは、不便だ。本文や図に他の場所への内部参照が多いのだが、大部分はリンクになっているものの一部はただの文字のままだから。
ここでは7章「呼吸器」を見てみよう。項目をタップすると、詳しい目次が開く。最初に解剖の概説があり、詳しい生理学がつづく。
解剖学・生理学・臨床医学(ちょっと)がインテグレートされている。すなわち、内容は系統に沿っている。『グレイ解剖学』のような局所解剖学的な内容はない。左心房の後方に食道があるなど本書に期待するのは、本のタイプが違う。人体解剖学実習で使う教科書を検討しているならお門違いだから、『グレイ』と指定の実習書とお好みのアトラスをポチッとしよう。
医学科なら、解剖学の授業より前の学年で人体の概要を自習するとか、逆に、臨床に進んでから復習のために参照する、といような用途になるだろう。生理学の授業なら使えるのかもしれない。医療系なら、解剖生理学の授業で使える。
iPadを持っているなら、冊子体より電子版の方がいい。他の「病みえ」とクロスリファレンスがあるので便利だ。
図をタップすると拡大してみられるが、10インチ以上のiPadならその必要もないだろう。マーカーは引けるが、任意の書き込みはできない。
図を長押しすると、自動的にクリップボードにコピーされる。GoodNotesなどのアプリで自分用のまとめノートを作れる。
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