アンメット —ある脳外科医の日記—

アンメット(1) ーある脳外科医の日記ー (モーニングコミックス)

アンメット(1) ーある脳外科医の日記ー (モーニングコミックス)

大槻閑人, 子鹿ゆずる
759円(12/22 18:00時点)
発売日: 2021/03/23
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医療マンガ・ミステリーマンガ。「コミックモーニング」連載中で、コミックは現在6巻。

原作者は元脳外科医。「転生賞(◯◯だったけど転職したら夢の印税生活で賞)」大賞受賞。

主人公は脳外科医の青年。ワーカホリックで、ほぼ病院内で生活している。米国の「フィラデルフィア大学病院」で8年間働いていた。すでに日本の40年分の手術経験がある。

 

日本の40年分

 

「フィラデルフィア大学病院」はフィクションだ。フィラデルフィア市内に実在する大学病院だと、トーマス・ジェファーソン大学病院、ペンシルバニア大学病院、テンプル大学病院あたりが著名だけど、高層のビルが建て込んでいる感じだと、ペンシルバニア大学病院(と同キャンパス内にあるフィラデルフィア小児科病院)界隈が近いようだ。

 

「フィラデルフィア大学病院」

 

 

 

主人公には脳梗塞の幹細胞治療の研究実績も多くあったが、実験に使っていたラットを遁走させて「フィラデルフィア大学病院」はクビになった。帰国し、市中の私立病院に勤務する。

なお、実際に遺伝子組換え実験で遺伝子改変動物を遁走させると、日本の法律では所属する機関ごと処罰されるかもしれない。また、宿直室で動物を飼育するような実験計画では、学内の認証は通らない。論文を投稿したとしても、編集部が却下し査読にも回らない。そこはフィクションということで。

 

クビになった

 

帰国前にみたのは、フィラデルフィア美術館のよこにあるロッキー像。「ロッキー」はこのあともでてくる。

 

 

原作者が元脳外科医だけに、医療考証はちゃんとしている。ときどき解説がある。情景や現症もマンガでよく伝わる。解剖学、神経解剖学、生理学などを習っているレベルでも、参考になることが多いだろう。教科書と合わせて読んでみたい。

 

脳ヘルニアの解説

 

中大脳動脈の栄養領域

 

中大脳動脈の栄養領域(FitzGerald: Clinical Neuroanatomy and Neuroscience より)

 

内頸動脈海綿静脈洞瘻。眼がうっ血し、拍動性の眼球突出をみ、内頸動脈から噴出する血液の音を聴診できる

 

海綿静脈洞(『グレイ解剖学第4版』より)

 

くも膜下出血による除脳硬直

 

第6巻では、物語のキーになる論文がでてくる。ボカシが入っているが、下の論文で間違いないと思われる。全文が無料で公開されているので、読んでみるといい(Google翻訳)

 

論文

 

Zeman, A. Z. J., Boniface, S. J. & Hodges, J. R. Transient epileptic amnesia: a description of the clinical and neuropsychological features in 10 cases and a review of the literature. J Neurology Neurosurg Psychiatry 64, 435 (1998). DOI: 10.1136/jnnp.64.4.435