組織学の教科書は何がよいか

基礎医学の中で組織学は医師には顧みられることの最も少ない科目だ。しかし、組織像が鑑別診断や病期判定の決め手になることは多いし、CBTや国試への出題も少なくない。すなわち、組織学の授業の目標は組織標本を「読める」ようになることだ。したがって、教科書選択の要点は次のようになるだろう:

  • 高品位な光学顕微鏡写真が多数あること
  • 文章や写真だけではわかりにくい局面で適宜模式図があること
  • 形態を意義付ける機能面、分子面の記述がしっかりしていること
  • 新しい知見がフォローされていること(免疫系が目安になる

図譜が一緒になり、細胞生物学や分子生物学まで含む教科書が主流だ。病理学までスコープを広げた教科書もある。

上の要点にかない、ちょうどよいボリューム。原著は2015刊の第4版で、その後にでた日本語版は原著第3版の翻訳。レビュー記事

歴史のある教科書。原著の改訂ごとに邦訳がでている。上の要点にかなう。写真の点数は多くはないが、場面が的確で不足を感じることは少ないだろう。レビュー記事

コンパクトでわかりやすい。顕微鏡写真が載っていないので、顕微鏡実習をがんばってやるように(筆者自身もそう言っている)。サプレッサーT細胞が載っているなど内容に変なところが少しあるので注意

上の要点にかなう。『組織細胞生物学』より詳しく、光顕写真が多数ある。原著は2015刊の第7版。日本語版は原著第5版(2006)の邦訳で改訂が遅れている。レビュー記事

アトラスに多めの解説をつけたスタイル。顕微鏡実習中心の授業ならこれでよいかもしれない。原著は2013の第6版。日本語版は2006刊の原著第5版の邦訳。

注:次のようなことが反映されているかどうか

アイキャッチ画像:サンティアゴ・ラモン・イ・カハル(1852 – 1934)、スペインの神経解剖学者、ニューロン説を提唱。1906年ノーベル生理学・医学賞