Histology: A Text and Atlas, 7E

Ross組織学』の原著が2015年1月に改訂され第7版になった。Inkling版をレビューする。

前版は2010年10月だから、4年3か月ぶりだ。詳しい説明と多数の光顕写真があり、講義から実習まで対応できる。光顕写真のほとんどがHEなのも医学生には実用的だ。細胞生物学や分子生物学までカバーしていて、細胞や組織の理解をよく補強している。それらの授業に間に合うほどではないので、別途教科書を揃えた方がよい。

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多数のHE写真がある。

 

臨床と関連する事項が「Clinical Correlation」としてまとめられている。章ごとに1〜数個で、多くはない。

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肺気腫と肺炎の組織像

 

細胞生物学・分子生物学の記述は適宜アップデートされている。前版から本書では一次リンパ組織にGALTが分類され、類書に先んじていたが、2013年にはB細胞発生の拠点の一つとして確かになっている。

前版までは模式図に雑なタッチのもあったが、ほとんど描き直され、美しくわかりやすくなった。

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GALTが一次リンパ組織に。この図は描き直され明快になった

 

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追加された模式図の一つ。文章の説明を顕微鏡写真に結びつけるのがむずかしかった部分だ

 

『Histology 101』というセクションが各章末に追加され、要点がまとめられている。(米国の大学では、入門科目に101という番号が振られていることが多い。転じて入門や基礎を示すのに使われる)

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章末のまとめが追加された

 

チェック問題もある。Inkling版ではインタラクティブになっている。

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Inkling版の選択問題

 

章の最後にアトラスがあり、光学顕微鏡写真が豊富だ。一つのテーマに沿って複数の写真が「プレート」としてまとめられている。

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脾臓のプレートの一つ

 

Histology and Cell Biology, 4e』とともに医学科生にお勧めだ。『組織細胞生物学』の底本が2001年12月刊の原著第1版、『Ross組織学』の底本は2006年7月刊の原著第5版。いずれも改訂が待たれる。