ネッター解剖学 セット版(電子書籍付)アトラス・別冊学習の手引き(原書第6版)

『ネッター解剖学アトラス(原著第6版)』には新たに、『別冊学習のてびき』とエルゼビアeLibrary版の全文コンテンツが付属したセット版も設けられた。

セット版は『ネッター』本体と『別冊』とが箱に収められている。ぴったりサイズの美しい箱だが、本の出し入れがキツいので、実際はバラして使うことになりそうだ。

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セット版は美麗箱入り

セット版には電子書籍も付属している。電子書籍はeLibrary版の日本語全文で、iPadのアプリやパソコンのブラウザ(要Flash)を使って冊子の紙面と同じに読める。また、通常版、セット版とも、Student Consult上の追補(英語;本文は別売り)も付属している。

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セット版には、eLibrary(日本語全文)とStudent Consult(英語の追補)のコンテンツが付属
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eLibrary版の電子書籍(iPadのアプリで)
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Student Consultの追補(iPadのアプリで)

『別冊学習のてびき』は、Student Consultにある「Study Guide」というコンテンツを翻訳したもの。全体が箇条書きでまとめられている。学習目標、解剖学の要点をまとめた「ガイド」、臨床上の着眼点「臨床のポイント」、暗記法を紹介する「暗記のためのヒント」からなる。

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別冊学習のてびき
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別冊:学習目標と要点
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別冊:臨床のポイントと記憶のためのヒント

アトラス本体の内容は従来を踏襲したものだ。ネッター氏による既存の図版を編集してできているので、少数のイラスト、放射線画像、表が追加されたほかは、図の選抜とレイアウトの変更、細部の修正だ。

ネッター氏は1991年に亡くなるまで、4,000点近いイラストを描いたといわれる。水彩画で、多くは実際の標本に取材して描かれたようだ。色調が強調され実際よりも鮮やかにみえる。質感など筆のタッチを活かして描かれているが、小品のイラストではタッチがやや目立つ。

ネッター氏の死後、図の一部は新しいイラストレータMachado氏によってレタッチされている。新たに描き起こされたイラストも少数ある。この版でもそれらが使われている。Machado氏のイラストはより滑らかで精細なタッチだ。

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この版で加わったイラストレータMachado氏と、主編者のHansen氏
ネッター氏のイラストは一部レタッチされた
ネッター氏のイラストは一部レタッチされた
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ネッター氏のイラスト(左)とMachado氏のイラスト(右)

ネッター氏のイラストはもともとそれぞれがワンテーマの図で、局所の形や機能、疾患を伝えるために描かれた。書籍の構成が先にあって描いたものではないので、論理的に重複した図があったり、図の流れが途切れたりしているのは否めない。

また、リアルなタッチだから一見実物のままのように見えるが、なかには模式的・観念的な図もある。解剖学実習で参照するときに注意されたい。

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頭蓋底の神経・血管の図。実際の標本に取材して描かれたようだ。剖出された神経の位置は少し逸れているが、概ね実物通り
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外耳・中耳・内耳を含む前頭断面。概念図らしく、実際とは異なる。一平面にすべて入るはずはないし、大きさの比率も実際とは違う
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組織学の図。不得意だったのか、気の抜けたような作品

iPadを持っていて、実習室などいろいろなところで活用しているなら、電子書籍は有用だろう。通常版にも付属してあったらよかったように思われる。一方、別冊がどれだけ有用かは一概にはいえなそうだ。教科書を別途買って学ぶのであれば(多くの履修生がそうであってほしい)、教科書をまず頼るほうがよい。