ラーセン人体発生学とグレイ解剖学アトラス

『ラーセン人体発生学』と『グレイ解剖学アトラス』それぞれの原著が改訂された。

いずれも Student Consult 付き。紙面の全文に加え、ビデオが添付されている。『ラーセン』のは発生過程のアニメーション、『グレイ』のは解剖手技の実写ビデオ。

Larsen’s Human Embryology, 5e” では、発生生物学からの知見が大きく加筆、改訂された。

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二次心臓野は2009頃から話題になった
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ノード流による左右軸決定に関するメカノセンソリーモデル

臨床との関わりもアップデートされ、最近の3Dエコーの紹介もある。

3Dエコーによる胎児像
3Dエコーによる胎児像

分量が増え、文章もより複雑になった。文字が小さく、行間も狭い。図表の絶対数は多いが、文章の理解を助けるような模式図が足らないように思われる。

医学科の解剖学の授業内で学ぶには大変すぎるかと心配になる。

参考文献が選抜されているが、そのために記載内容の由来を探しにくい。記載内容の裏付けをとるのに困る。院生レベル以上の学習には不便だ。

英語で読むなら、“Human Embryology and Developmental Biology, 5e” のほうがより整理されていてよいのではないか。発生生物学についてきちんと学ぶなら、“Developmental Biology” のほうがよい。

読者のターゲットを見失ってはいないだろうか。

Gray’s Atlas of Anatomy, 2e” では、放射線科学からの図が多く追加され、解剖学図と対比して学べるようにレイアウトされている。本学のCT課題で、画像の提示の仕方の参考にもなるだろう。

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腹部内臓の解剖図、体表への投影図、注腸造影X線写真、造影CT冠状面像を対比

章末には主要な筋や血管などをまとめた表と模式図があり、勉強の役に立ちそうだ。(試験問題にも使えそうだ。)

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胸部の筋のまとめ
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大動脈の主要な枝のまとめ

 

Gray’s Anatomy for Students, 3e” 自体、図が豊富なので、旧版の“Gray’s Atlas of Anatomy” ではあえてそれを購入するメリットを見いだしにくかった。新版なら買う価値はあるだろう。『プロメテウス解剖学 コア アトラス』を使うときにしばしば困るような、用語の細かな違いに惑わされる心配が少ないのもよい。