ゼブラフィッシュ稚魚の飼育にゾウリムシを餌として使う。凍結保存はできないので、継代維持する必要がある。実験室のスケールで飼料用の高密度の懸濁液を生産しながら継代する方法を紹介する。 Zebrafish Bookの方法を簡略化したものである。
必要なもの
- ゾウリムシ (*)
- 2リットルペットボトル(生協のお茶のペットボトルが丈夫)
- 押麦(大麦を潰したもの。食品として入手できる)
- ビール酵母(健康食品の缶入り顆粒やエビオス錠)
* 純度が重要。教材会社や熱帯魚店のものにはコンタミのあるのも多い。研究者や学術機関から株として分与を受けたほうがよい。
継代培養
餌として毎日必要なときは、ペットボトルを5組用意し、毎日精製と継代をするのがよい。週末や数日の休暇中は作業を中断できる。
- 2リットルのペットボトルに下記をいれ、一晩置く
- 給湯器からの熱湯(60℃;70℃以上ではペットボトルが変形する)をボトルの肩まで
- 大麦 約30粒
- 翌日に次を加える
- ビール酵母 1/2 粒(約130 mg)
- 精製ゾウリムシ数 ml
- 1% 麦葉浸出液 100ml(1:20;最終0.05%)オプション(よく増える)
4日で使えるようになり、7日くらいが収量最大。3週間くらいは使えるが収量は減り、いずれ死滅する。
精製
- 1リットルの三角フラスコにゾウリムシの培養液を満たす(ペットボトル2本で、フラスコ3本できる)
- フラスコの頚のところに熱帯魚の濾過装置用の綿を緩く詰める(*)
- 綿の上に水道の流水を流し、培養液と置き換える
- 数時間〜一晩おくと、綿の上にゾウリムシが集まる
- 綿の上の液を吸い集めて飼料にする(継代用にはこの後に水道水を足して採取したものでも十分)(**)
*ニッソー NEWクリアーマット600徳用 NTM-071などを約2×10cmの短冊に切り、ロールケーキ状に巻くとよい。
** ときどき顕微鏡でコンタミがないかチェックする。
コンタミに注意
培養液にゾウリムシ以外のプランクトンを混入させないこと。コンタミすると継代ごとにゾウリムシのポピュレーションが減って絶えていくことがある。
- 水槽のある部屋でなく一般の実験室で継代する
- 器具は使用ごとに熱湯(60℃以上)で洗う
- 器具が汚れてきたら、次亜塩素酸溶液で処理する(あとでよくすすぐこと)
参考:ゾウリムシの培養