Photographic Atlas of Anatomy, 9E

Photographic Atlas of Anatomy (Lippincott Connect)

Photographic Atlas of Anatomy (Lippincott Connect)

Rohen MD, Johannes W., Yokochi MD, Chihiro, Lutjen-Drecoll PhD, Elke
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解剖学カラーアトラス 第8版

解剖学カラーアトラス 第8版

JohannesW. Rohen
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写真による解剖学アトラス『Photographic Atlas of Anatomy』(旧『Color Atlas of Anatomy』)が改訂され第9版になった。Lippincott Connectへのアクセスが付属していて、電子書籍と練習問題も利用できる。少量の英語が大丈夫なら、日本語版より電子版の付属している英語版の方がおすすめ。今回入手したのは米国内版だが、米国外向けのInternational Editionもあり、表紙が違うだけで少し安価。

『Photographic Atlas of Anatomy』の特徴は、入念に選別された解剖体を精緻に剖出して作成された標本、それを卓越した技術で撮影した1,200枚以上のカラー写真、解剖順に論理的にレイアウトされた誌面だ。解剖学的な構造には数字でラベルが振られ、キャプションでその名称が示される。写真の解釈を助けるために、適宜イラストによる模式図が付されている。

剖出が精緻なことは、『グラント解剖学実習』にしばしば、剖出の困難なポイントを「アトラスを参照して復習する」「アトラスで確認する」と指示されていることからもうかがえる。そういうときに参照できるのが本書だ。解剖順に沿って多数の写真があるので、本書を確認しながら間違いなく解剖を進められる。

例えば、頭頸部の解剖を本書そっくりにやろうとしたら大変な作業と時間を要するのは、実際に解剖実習を少し経験すればわかるだろう。まるで結合組織がもともと無かったかのような剖出だ。

 

細かな神経・脈管まで精緻に剖出された頭頸部

 

眼窩に出入りする神経

 

写真の解剖アトラスのなかで、写真の質に関して本書は無双である。類書では、ここまでの精緻さに至っていない写真が少なからずある。たとえば『人体解剖カラーアトラス』では、古い写真は『Photographic Atlas of Anatomy』に匹敵するくらいいいのだが、最近の写真にはクオリティの低いのが多い。

人体解剖カラーアトラス(電子書籍付)(原書第8版)

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肝胆膵領域:左が『人体解剖カラーアトラス』、右が本書。左の写真は、アトラスに使うには剖出が不徹底だし、照明がストロボ1灯なのか白飛びしているし、絞り込みが足らないために被写界深度が浅くて大部分ボケている。着色は粗隠しだろうか

 

最近の改訂では、画像解剖学や体表解剖学にも重点が置かれている。画像の数は少ないが、解剖標本といっしょに並んでいるのが利点だ。

 

胸部の横断標本と胸部CT

 

心臓の色々な断面とCT

 

肺区域、肝区域、臓器の位置関係など、臨床上役に立つ項目もおさえられている。また、最近追加された写真では、より生の状態に近い固定法が用いられている。サージカルトレーニングでも参考になるだろう。

 

肺区域

 

肝区域(左ページ)、脾臓と胸郭との位置関係(右ページ)

 

骨盤腔:生に近い固定法が用いられている(右ページ)

 

本書には神経解剖学も含まれる。脳実習でも使える。脳を解剖するとき、脳実習では一通り(左右を別にすれば二通り)の剖出法しかできないが、本書では同じ部位をいろいろな「切り方」「裂き方」でみられる。

 

脳の解剖

 

今回の改訂での大きな変更点は、章の順序が一般的な解剖実習の順序に倣って並べかえられたことだ。従来は人体の上から下の順に章が並んでいたが、第9版では、体幹→上肢→下肢→胸部→腹部…の順になっている。『グラント解剖学実習』とほぼ同じなので(下肢の順だけ違う)、実習中に参照しやすくなった。

一部の写真やイラストも差し替えられている。

 

もくじの冒頭:左が第8版(日本語版)、右が第9版

 

イラストが差し替えられた:左が第8版、右が第9版

 

CT画像が差し替えられた:左が第8版、右が第9版。CTのスライス位置を解剖標本の切断面に合わせた。第8版のキャプションの誤りも正された(MRではなくCT)

 

本書にはthePointのコードが付属していて、アクセスすると練習問題がある(期限付き)。

 

thePointのコードが隠れている

 

また、同じコードを使ってLippincott Connectに登録すると、電子書籍も利用できるようになる。thePointとLippincott Connectのアカウントは統一されていないので、それぞれ別に作る必要がある。

Lippincott Connectの電子書籍はPDFではなく、Webに展開されている。

Study Collectionsという機能を使って、自分なりの抜粋を作れる。

名称を選択肢から選ぶ形式の練習問題もある。

 

電子書籍

 

Study Collection

 

練習問題