スマホ/タブレットに入れる治療薬の本はどれがよいか
臨床実習や研修では治療薬のマニュアル本があると便利だ。白衣のポケットには入りきらないボリュームなので、電子版を使いたい。どれがよいか考えよう。
タイトル | プラットフォーム | ダウンロード/オンライン | 冊子体の価格 | 電子版の年経費 | 計 | 別売/付録 | 附記 |
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今日の治療薬 | 医書.jp | ダウンロード | 5280 | 5148 | 10428 | 別売 | サブスクリプション。冊子体相当の内容 |
今日の治療薬 | M3 | ダウンロード | 5280 | *4620 | 9900 | 別売 | 買切り。冊子体から解説を省いたサブセット。書籍と同じ年の版は3月発売 |
治療薬ハンドブック | じほう | ダウンロードまたはオンライン | 4950 | – | 4950 | 付録 | データ更新やニュース配信などを次年度まで使える。それ以外は次年度以降も使える |
治療薬マニュアル | 医学書院 | オンライン | 5610 | – | 5610 | 付録 | 書籍と同じ年の版は3月からで、それまでは前年版。アクセス権は次年の電子版が出ると切れる |
治療薬マニュアル | 医書.jp | ダウンロード | 5610 | *5500 | 11110 | 別売 | 買切り。書籍と同じ年の版は3月発売 |
今日の治療薬か、治療薬ハンドブックか、治療薬マニュアルか
アプリにも便覧(添付文書並の情報)と治療薬の解説の両方を含んでいてほしい。『今日の治療薬』、『治療薬マニュアル』の、いずれも医書.jp版、あるいは『治療薬ハンドブック』のアプリが検討できよう。
『今日の治療薬』アプリ医書.jp版は2022年度版からサブスクリプションに移行し、コンテンツが毎月アップデートされることになった。情報が月単位でアップデートされるのは好ましい。検索履歴が便利。
『治療薬ハンドブック』アプリは、無料のアプリをインストールして冊子にあるコードでフルセットにして使う。解説には薬剤師向けの独自の情報もある。冊子体と同時にアプリ版も更新される。
『治療薬マニュアル』アプリは年度版。アプリ版のアップデートは冊子体より遅れる。『治療薬マニュアル』の解説は詳しく勉強になる。
いずれもお試し版がある。実際に試すのがよい。同じ薬、同じ範疇の解説をいくつか決めて、比較してみよう。現場でも使って使い勝手を試そう。
- 実習先・勤務先にある冊子体と同じのを選ぶ
- それと違う方を選ぶ
- 毎年違うのを買う
- 全部買う
評者の選択は、冊子に付属していて、データ更新とニュース配信があることから『治療薬ハンドブック』。つぎは、サブスクリプションで最新の情報が得られ、解説を含むことから、『今日の治療薬』医書jp版。解説を勉強する気なら『治療薬マニュアル』の医書.jp版だが、大学図書館の契約があるので、そちらを利用。
機関購入のコンテンツ
所属の大学や病院で、冊子体を大量購入していたり、ネット版のライセンスがあるかもしれない。まずそれをチェックしよう。
たとえば、群馬大学医学図書館には医学書院の「今日の診療プレミアム」のライセンスがあり、そこに『治療薬マニュアル』も含まれる。昭和キャンパスのネットワーク内なら無料で使える。(同時ログイン数≦5;使い終わったらログアウトを忘れずに)
今日の治療薬
『今日の治療薬』は、治療薬のマニュアル本のなかでは最もよく売れている。冊子体と電子版は別売り。電子版には、isho.jp版と m2plus版とがある。 isho.jp 版の方がおすすめ。
isho.jp 版はサブスクリプションで、毎月コンテンツがアップデートされる。表示はiPhoneからiPadまで画面に合わせて最適化される。解説を読んで治療薬について勉強するのにもいい。コンテンツは端末にダウンロードされるので、インターネット接続できない場所でも使え、通信量をムダにすることもない。
薬のページから解説のページにリンクがあるのが、ちょっと概要を押さえたいときに便利。解説が要約的で、しばしばまとめの図表があり、手短に概略を得るのによい。図表は小さなサムネイルからリンクで辿る。小さな図表なら拡大しなくてもみられるので、インラインで表示するようにしてほしかった。
治療薬ハンドブック
治療薬ハンドブックの特徴は、粉砕可否など薬剤師向けの情報が充実していること。薬価が表示されているのがよい。冊子体と同時にアプリ版もアップデートされる。冊子体の改訂後も、旧版のデータは使い続けられる。
会員登録して冊子体に付属しているコードを使うと、フルセット版のアプリを使えるようになる。添付文書の情報に加えて、総説、臨床情報、ニュースなどを読めるようになる。
じほう社は、医療システム向けの医薬品情報の販売もしている。電カルで知らず知らずにみているかもしれない。
治療薬マニュアル
治療薬のマニュアル本のなかでは、解説が最も詳しい。解説を落ち着いて読んで学ぶのに良い。本のボリュームも最大。
冊子体にWeb版のライセンスが付属している。Web版の内容は冊子体と同じ。解説を読んで勉強もできる。ただし、そのライセンスが発行年の翌年1月末で切れ(買ってから1年ではない)、以降は全く使えなくなる。データの更新だけできないというレベルではない(学生のみ翌々年までの延長キャンペーンあり)。しかも、冊子体発行時のWeb版は前年度版で、同年度版がみられるのは3月末から。また、オフラインでは使えない。
冊子は買わずに、isho.jp版のアプリを買った方がよい。コンテンツやデザインはWeb版の「今日の診療プレミアム」を踏襲している。アプリのコンテンツは売りきりのダウンロードで、ライセンス切れの心配はないし、オフラインでも使える。句読点の幅や行間が広く、色分けされたレイアウトが美しく、読みやすい。
アプリ版でも詳しい解説が読めるのが良い。個々の薬にも「臨床解説」という追加の説明があるのがよい。
検索履歴がでないのは残念。
iPadでは「見出しナビ」が左側に、本文が右側に表示される。マルチタスク機能を使えば、Safariなどで他の情報もいっしょにみられる。iPhoneでも「見出しナビ」をタップすると、見出しがポップアップされる。文字の大きさを簡単に変えられる。
電子版の発行は3月で、冊子体の発行の1月より2か月遅れる。
医療用医薬品 情報検索
「医療用医薬品 情報検索」は独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の提供しているサービスで、無料。
無料のアプリ
治療薬を含む医療情報を提供するアプリがいくつかある。もし利用登録が必要なものならば、無料であることと引き換えに、利用者の個人情報がサービスを提供する運営会社や第三者に利用されることを意識しよう。検索・閲覧した情報を集約すれば、どんな医療に関係しているか分かるかもしれない。
利用する前に、必ず運営会社のホームページにアクセスし、プライバシーポリシーを確認すること。特に、個人情報の第三者提供の項目に注意しよう。情報の提供を受ける「第三者」が開示されているかも重要。また、会員の退会の方法が提供されているか、その際に個人情報も削除されるのかも要確認。運営会社がプライバシーマークを取得しているかも確認しよう。運営会社が、事業をどのようにマネタイズしているかを疑おう。
更新履歴
- 2024/2/15 比較表追加
- 2024/1/12 冊子体のデータだけ2024年版に更新
- 2022/11/26 冊子体のデータを2023年版に更新。『治療薬ハンドブック』アプリの説明を新版に合わせて書き換え
- 2022/4/18 今日の治療薬アプリをサブスクリプション版にアップデート。他は古いまま
- 2022/1/11 冊子体のバナーを2022版と差し替え
- 2021/3/11, 15 isho.jp版のアプリを2021年版に更新。無料アプリの項目を更新。
- 2020/3/18 isho.jp版のアプリを2020年版と差し替え
- 2020/1/20 冊子体のバナーを2020年版と差し替え。各々のアプリの状況を確認(電子版はまだ2019年版)。キャプチャを数点追加
- 2019/4/5 2019年版にアップデート
- 2018/4/10 最初の投稿