ジェネラリストを目指す人のための画像診断パワフルガイド 第2版
全身にわたる画像診断をまとめたテキスト。オビに「画像診断エンサイクロペディア」とあるとおり。
900ページ近い、ブルータルなボリュームの冊子である。筆者のほぼ単著で、ライフワークとして完成させたという。重いのが大変なら、医書.jpの電子版もある。
画像診断といっても単純なパターンマッチングの本ではない。「画像診断においても病態・病理の理解が最も重要」という。一つの方法だけで診断できないのは、画像でも心電図でも聴診でも、なんでも同じだ。一方で、病態・病理がわかっていたら、そうしたいろいろな検査所見を一元的に理解できる。
本にはいろいろな病態がたくさん掲載されいる。それらが、A〜Cにランク付けされている。
- A:医学生から初期研修医まで必ず分からないといけないもの
- B:専門医なら最低限知らないといけないもの
- C:専門医ができればわかるようであってほしいもの
目次(カッコ内はタイトル項目の疾患数)
Ⅰ 脳神経(80)
Ⅱ 頭頸部(25)
Ⅲ 脊椎・脊髄(27)
Ⅳ 胸部(63)
Ⅴ 心血管(17)
Ⅵ 消化管(26)
Ⅶ 肝胆膵(44)
Ⅷ 泌尿器(33)
Ⅸ 女性生殖器(19)
Ⅹ 骨軟部(55)
Ⅺ 乳腺(5)
Ⅻ 多臓器疾患(12)
計406疾患
少しみていこう。
各章とも、まず画像解剖の解説から始まる。脳のところなら、構造と画像との対応や、モダリティーごとの見え方がある。読影の出発点として、中心溝やシルビウス溝の同定方法もある。肺のところなら、すりガラス影などびまん性の陰影をどのように読み取るかの解説。
Aの項目をいくつかみよう。
一つの項目が、1〜数ページで、統一されたフォーマットでまとまっている。最初に画像、続いてそのベースになる病態・病理がある。そのあとに画像のポイントがモダリティーごとに解説される。関連する病態が、Power UPとして言及される。
くも膜下出血のCTは、急性期ならそれだけで診断できるくらい特徴的だ。その病態・病理を読めば、「突然の激しい頭痛や嘔吐」というように、病気のようすまでわかる。画像の解説を読めば、急性期ではCT、慢性期ではMRIが有用であることがわかる。
急性硬膜外血腫の項目も同様だ。受傷してもCTを撮ろうとならなければ診断に至らないので、やはり病態・病理を画像と結びつけて知っておくのが重要だ。
モダリティーは、病態ごとに良く用いられるものが選ばれている。胆石ならエコーとCT、X線に映らないものや胆嚢炎を描写するならMRIという具合。十字靱帯断裂ならMRIだ。
BとCもみてみる。後縦靱帯や黄色靱帯の骨化症は、Bになっていた。頻度の問題かもしれないが、思い当たればCTで骨化がみえるので診断は難しくなさそう。新型コロナの間質性肺炎はCになっていた。特異性が高いこともなく、他にいろいろ悩むこともあるからだろう。
解剖学のテキストにも出てくるのをみつけると、ちょっと楽しい。アダムキーヴィッツ動脈、そうでなくても根動脈は、解剖学実習でぜひ探してみよう。
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