2022年度 解剖学アンケート
2022年度(昨年度)末に肉眼解剖学履修生に取ったアンケートを集計した。
調査詳細
- 調査方法:Googleフォームによる全学認証付きウエブフォーム
- 調査期間:2023年2月2日〜2月16日
- 調査対象:2022年度肉眼解剖学履修生
- 任意・必須の別:必須
- 設問形式:
- リッカートスケール(設問に同意する程度を、同意(5)・やや同意(4)・どちらともいえない(3)・やや不同意(2)・不同意(1)の5段階で答える)
- いくつかの選択肢から選択する設問
- 自由回答の設問
- 回収率:99.2%
- うち、研究用途への許諾の割合:94.4%
集計
- リッカートスケールの設問の集計はリッカートプロット(中央の値を横軸の中央に揃えたバーグラフ;肯定的な回答の割合が多いほどバー全体が右に寄る)で表示
- 選択肢の設問はバーグラフや円グラフで表示
- 自由回答の設問は、Wordcloudを作成(User Local)
結果と考察
解剖班分け
班分けは、概ね例年通りに好評だった。ただし、入学時からコロナ下で学んだ学年で、学生同士のインタラクションが少なかったせいか、自由回答からは最適化の低かったことを伺わせる班もあったようだ。
班分けについて疑問もあったので、回答しておく:
- 班分けの最適化プログラムは、局所探索に基づく。各班のコンパチビリティーが最大になるよう、ランダムなトレードを繰り返す。コンパチビリティーは、相互のよい・わるいの組合せに、モチベーションのマッチの程度で増減して決まる
- 公平性を鑑み、班内の男女比は考慮しなかった(以前はしていた)
- 班の配置はランダムで、解剖体の配置とは無関係
自由回答の感想や意見をふまえ、自分の班の最適化がよくために次のTIPSを提案する:
- 恋人同士や親しすぎる人同士が組まれるようにすると、不仲になったときに大変
- 班組み前に多くのクラスメートと知り合っておくことが、重要
Grant’s Dissection Videos
Grant’s Dissection Videosについては、解剖学の学習に役立っていた。一方で、ナレーションが英語であるための使いにくさも伺われた。
アクセスに困った例も一定数あった。これについては、学内LANに接続していることが要件であること、認証可否がCookieという仕組みでブラウザに一定時間保存されていること、の2点を理解していることが肝要。
リモート講義
Zoom講義について、対面との比較では意見が分かれた。コロナの初めの2020年度では対面より有意に好評だったので、利便性に甘んじて弊害を許したか。一方で、録画については好意的だった。
解剖とCT
解剖実習におけるCTについては、概ね好評だった。ただし、授業時間の削減からCTへの指導が削られていた結果、それに対する不満も自由回答ではみられた。一方でiPadについては好評で、インストールされていた3D解剖アトラスが有用だったようだ。
解剖学授業のDX
肉眼解剖学の授業では従来よりITが活用されている。それについては非常に良い評価が得られた。
Google共有ドライブからのダウンロードが遅く、授業開始に間に合わなかったとの意見があった。これについては、サーバーが何かではなく、講義室のWiFiへのアクセス集中が原因と推測される。このWiFiの容量は、学年全員が複数台の端末を接続するには全く足らない。恐らく数十人分しかなく、教員のパソコンが繋がらず困ることもあるくらい。
そのため、アクセス集中を避ける工夫が求められる。直前の休み時間に多くの履修生がアクセスせざるを得ない状況を避けるため、教員が資料のアップロードをできるだけ早期にする必要がある。使わない端末のWiFiを切ることも有効(スリープ中もWiFiは繋がっているので、スリープだけでは効果ない)。
講義室のWiFi設備の改善は望まれる。実習室のWiFiの容量は、人数分はある。
LMS(Moodle)は本学でもコロナ以前から提供されていたが、ほとんど使われていなかった。解剖学の授業でも、ブログとファイルサーバないしクラウドを利用し、LMSは使わなかった。2020年のコロナを契機にLMSが使われるようになったが、解剖学の授業のメインはブログとクラウドだった。LMSを使わない理由は、公開すべき情報にもアクセス制限が掛かる、UIを覚えても卒業したら関係なくなる、大きなファイルを置けない、年度ごとに内容が入れ替わるので情報の蓄積がなされない、など。→解剖のITのポリシー
Google共有ドライブのフォルダ構成が深くて必要な情報を探しにくい、というのは、以前から指摘されている。できるだけ整理しているけれども、蓄積された情報量が多いので、なかなか難しい。パソコンのデスクトップにマウントして使うと使いやすくなるので、試してほしい。
授業のスケジュール
授業のスケジュールについては概ね好意的だった。一方で、自由回答には、カリキュラム全体の時間配分の再考を求める提言が少なからずあった。
試験回数については、現状の3回でよいようだ。2023年度も3回できるみこみだが、授業時間上はギリギリなので、来年度以降も持続できるかは分からない。
試験は難しかったようだ。授業全体で試験に取り組みやすくする工夫は継続する。
テキストの使用率と評価
指定書の『グラント解剖学実習』の使用率が100%なのは当然として、ほとんどの人が、『グレイ解剖学』とアトラスいずれか1冊を使っていた。
一方で、発生学やCTのテキストの使用率は低かった。
IT機器のシェア
MacとWindowsは拮抗していた。スマホ(iPhoneまたはAndroid)は100%、iPadは9割近くが使っていた。AppleWatchは1割。他は僅少。
学習状況
学習状況について調査した。2023年度の履修生も参考にされたい。
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