Dr. Eggs ドクターエッグス

医学生を題材にした医療マンガ。破天荒な教員、同郷の先輩、様々な同級生に囲まれて医師を目指す若者の成長物語である。新学期から医学生になるのなら、医学生で解剖学や生理学をこれから学ぶなら、あるいは学んだばかりなら、読んでみよう。

「グランドジャンプ」連載中で、コミックは現在4巻。作者は「ドラゴン桜」や「インベスターZ」で知られる三田紀房(みたのりふさ)氏。

 

 

主人公の千森円(ちもりまどか)は、埼玉県立浦和浦名高等学校の学業優秀な生徒だったが、特に目標や志望もなかった。進路指導で、成績を理由に地方の国公立医学部を薦められ、なんとなく山形大学医学部出羽医大に入った。よくある話しだ。

 

 

この設定は秋田大学医学部を舞台にした、南木佳士氏の『医学生』に似ている。『医学生』では1970年の新設から2年目だったから、「Dr. Eggs」は、その約50年後のはなしということになる。

 

 

「ドラゴン桜」っぽい教員

 

さらっと的確なアドバイスをいう同郷の先輩

 

第1巻は骨学実習まで。この大学では、1年生のときに先に骨学を済ませるらしい。表紙によると、テキストは『骨学のすゝめ』だ。

「Dr. Eggs」の主人公は、『医学生』の医学生らよりずっと素直でいい感じの若者である。周囲からのアドバイスを反発せず、よく考えて受け入れる。

同じように現代の医学生を題材にした医療マンガに「賢者の学び舎」がある。その主人公と脇役はかなり屈折していて連載を読むのはしんどかった。「Dr. Eggs」は大丈夫そうだ。

 

環軸関節

 

 

2年生から、肉眼解剖学実習になる。

 

 

支度を調えて、黙祷で始まる。この解剖実習室にも、本学同様の換気装置が完備されているようだ。2009年前後に、全国の医学部で解剖実習室のホルマリン対策がなされたのである。

 

黙祷と訓示

 

この大学では、頸部から実習が始まる。『解剖実習の手びき』ないし『解剖実習カラーテキスト』を使っているようだ。

どのテキストを使うにしろ、学生は怒濤に迫る用語、解剖班内の軋轢、実習の居残りに苦しめられることになる。

本学では、解剖学用語は日本語と英語だけだが、プラス、ラテン語もという大学だとより大変だ。解剖班の班組みも苦労するポイント。本学のように最適化すれば改善されるが、必ずしもうまくいくとは限らない。遅くまで居残りすると予習する余裕がなくなるので、効率よく、早く帰れるようにしたい。

 

暗記に続く暗記で夢にまでみる

 

解剖班で生じる軋轢

 

居残り。教員も学生たちに早く帰ってほしい。

 

解剖学実習の終盤から、神経解剖学と脳が始まる。

 

 

肉眼解剖学担当教授の「脳の解剖は面白くない」とのことばが象徴的だ。そして、神経解剖学の担当教授は超きびしい。

解剖学実習の最後は納骨。そして、基礎医学の各科目の試験がある。

無事に合格すれば夏休みだ。

 

脳の解剖は面白くない

 

神経解剖学の担当教授は超きびしい

 

医学生の夏休みは東医体だ。コロナで2020年の第63回と21年の第64回は中止、22年の第65回は縮小開催だったが、23年の66回は全面開催が予定されている。本学も、順天堂大医、日本大医、埼玉医大とともに主管校になっている。

 

 

主人公らは文化系のサークルなので東医体には関係ないが、サッカーの応援に出向き、私立医大の学生の高級車や、選手らの変な髪色におどろく。

 

金髪にモヒカン

 

2年生後期から生理学だ。テキストは『標準生理学』らしい。その勉強をいっしょにした成績トップの学生がiPadを使っているのを知る。アプリには、GoodNotesが勧められていた。

本学でも大部分の学生がiPadを使っている。Visible Bodyのアトラスや、DICOMビューアのHoros Mobile、Kindleや医書.jpなど、いろいろ有用だ。

iPadの購入資金のため、同級の家庭持ちの編入生に誘われて、飲食のバイトを始める。

 

iPadで勉強している

 

生理学の試験直前に、闇情報が流れてくる。ありがちなことだ。部活の先輩の情報など、明らかにガセとわかりそうなものだが、すがりたくなるものだ。

 

試験直前の闇情報

 

そして、慰霊祭。

多くの大学は、コロナで中止になっていた。来年度は再開されるだろう。

 

慰霊祭

 

2年生の前期までで4巻なので、卒業までに10数巻、研修まで入れると20巻くらいだろうか。早送りや打ち切りにならないように期待したい。