エキスパートナース 2022年9月号 ヒミツ手技 追加接種編

今月の表紙は、退院する小児の患者さんを見送る看護師1年生の2人。どんなことをいってるんだろう?

エキスパートナースの特集記事として雑誌掲載が再開した「ねじ子のヒミツ手技」。2022年9月号は、新型コロナウイルスワクチン編の3回目「3・4回目のワクチン接種のこと」。(10月号は小児への接種)

 

「ねじ子のヒミツ手技」1〜3回

 

「ヒミツ手技」1・2回目の当時は、世界初のメッセンジャーRNAワクチンで、日本では経験の少なかった筋注でもあり、医療者も一般の人も不安を隠せなかった。ワクチンの種類も、最初はファイザー製のコミナティしかなかった。省庁を越えて実現した大規模接種会場もはじめてのことで、当時の政府の馬力が感じられた(厚労省と防衛省が協力するなんて!)。

誌面のデザインにもその緊張感がほとばしっていた。タイトルにも「シン」と付いていたし、書きぶりもそれまでの『ヒミツ手技』各巻とはちがって、交感神経がキリキリした雰囲気だった。(5月号の付録「ヒミツノート」には、著者のストレスが漏れ出ていた。)

それでも、ワクチン接種に携わる医療関係者たちは、この特集に助けられたと思う。評者も参考にした。

 

「シン・ねじ子のヒミツ手技」筋注編・副反応編

 

ワクチン接種率の推移(赤帯は緊急事態宣言)

 

そして今回の「ヒミツ手技」は、追加接種について。

ああ、もう、書きぶりがだいぶ落ち着いている。コロナについてもワクチンについても情報が蓄積されたし、ワクチンも4種類使えるし、治療薬もいくつか使えるようになった。モデルナを「飽きた」といってしまえるなんて。最初はみんなググりまくって情報を集めていたのに。

まず、集団接種会場で使われることの多い、モデルナ社製のスパイクバックスについて。コミナティに比べて保存性がよく、希釈不要で準備がラクなので、大規模接種会場で採用された。

(群馬県の大規模接種会場もスパイクバックスだった。)

交差接種ができるようになり、ワクチンの種類のシバリがなくなった。ベクターワクチンや組み換えタンパク質ワクチンも使えるようになって、コミナティやスパイクバックスで副反応が強くても、他を選択できるようになった。

つぎに、副反応について。世界中で接種人口が増え、データが蓄積された。心筋炎と「モデルナアーム」(コミナティでもでる)を特に。両方とも機序がいまいち不明だけれども、問診での回答例が助かる。副反応の差(誤解も含め)のせいか、スパイクバックスが敬遠された。

(群馬県の大規模接種会場も、1・2回目の接種のときに比べて、利用者がだいぶ少なかったという。これは、最寄りの医院などでの接種が広まったこともあるけれども。)

みっつめが、問診で困ったときのアドバイス。これは、参考になる。被接種者のパーソナリティーに応じて説明の仕方を工夫するというのは、一般の診療でも大切なことだ。

よく聞かれる質問は、もしかすると地域や時期による違いがあるかもしれない。群馬県の大規模接種会場に評者が参加したときは(主に追加接種)、発熱のことや、解熱剤の話しをよくした。副反応をおさえるのに、解熱剤を接種後すぐ飲む・スポーツ飲料を大量に飲む、というような誤った通説が流行っていて、それを修正することが多かった。発熱を「ふつうにあること」として問診票の副反応の欄に書かれないことも多くて、よくきくと40℃以上もあって寝込んだということも多かった。布団をつっかぶって汗をいっぱいかいてしのいだなんていう人も。少なくない人が、発熱時の対処の仕方や解熱剤の使い方を知らなかったんである。そんなこんなで、発熱・抗体値・解熱剤の相関の論文を読んだり、NSAIDsを『今日の治療薬』で復習したりした。

 

3・4回目のワクチン接種まででわかってきたこと

 

問診のこと

 

連載は今月号も興味深い。とくに、文末でこぼれたはなしが印象的だった。

「軍人のように働く」医療者の例え。そしてその孤独について。多くの人がそのように働いたのだろう。『コウノドリ』も。

3分間で怪獣を倒すウルトラマンの、ハイスループットな仕事の例え。この例えの理解は、読者の年代や地域に依存するかもしれない。ゴールデンタイムにメジャーな系列局で視聴できたむかしと、地方局で細々と放送された時期とでは、理解が違うだろう。昭和第1期はカッコよかった。昭和第2期からはだんだんダルくなった。平成第1期ティガはまたカッコよかった。でもまた…そして今年の「シン・ウルトラマン」。

  • 昭和第1期ウルトラシリーズ(ウルトラQ〜ウルトラセブン):1966〜1968
  • 昭和第2期ウルトラシリーズ(帰ってきたウルトラマン〜ウルトラマンレオ):1971〜1975
  • 昭和第3期ウルトラシリーズ(ザ☆ウルトラマン〜ウルトラマン80):1979〜1981
  • 平成第1期ウルトラシリーズ(ウルトラマンティガ〜ウルトラマンガイア):1996〜1999
  • 平成第2期ウルトラシリーズ(ウルトラマンコスモス〜ウルトラマンメビウス):2002〜2007
  • 平成第3期ウルトラシリーズ(ウルトラマン列伝〜ウルトラマンレグロス):2011〜
  • 令和4年「シン・ウルトラマン」2022年5月13日公開

 

軍人のように

 

ウルトラマン