エキスパートナース 2022年3月号 + 増刊号
2021年4月号からスタートした新人ナースの成長物語は、シーズン1の最終回を迎えた。プリセプター謝恩会のあとだろうか、空色のスクラブのパイセンが花束を手にしている。昨年度からワクチン接種の「シン・ねじ子のひみつ手技」など、年間半分以上の号に何らかのCOVID-19関連の記事があったが、今月はそれがない。束の間ホッとする。
今月の特集は大型だ。ひとつめは腎臓病。解説は、腎臓内科医でYouTubeやTwitterで情報を発信している Dr. おかめ 先生。マンガとイラストは、看護師でイラストレーターもしている かげ さん。かげ さんの動物種は、インスタのプロフィールに入っていた絵文字から判定するにネコらしい。いっしょにいる耳と尾の赤い動物はよく分からない。Dr. おかめ 先生はおかめのお面を着けていてちょっと引くが、イラストになるとかわいい。
本学の解剖学実習では、死後CT所見を解剖で裏付ける課題がだされる。そのときに、履修生の多くが気づくのが、腎臓の変化だ。腎臓が萎縮しているのをみて死亡診断書を確認すると、慢性腎不全の記載があったりする。腎嚢胞は頻繁にみつかるし、まれに骨盤腔に移植腎があったり、さらにまれに馬蹄腎をみることもある。腎結石も少なくない。
まず腎臓の4つの働きのレビューと主な腎臓病の解説から。イメージでのとらえかたやプチ知識があり、イラストの助けもあってわかりやすい。授業で学んだことの整理になる。
つづいて、腎臓病の患者のケア。そして、Q&A形式で、ケアで起こりがちなトラブルに答える。
特集の2つ目は、脳卒中。本学では解剖実習の前のタイミングで老健実習があり、脳血管障害の老人をみる機会がある。そして解剖学実習で出会う篤志献体者の多くも、脳血管障害の後遺症で長期臥床になっていたかたたちだ。生前がどういう状況で、どのようなケアを受けていたらしいのか、興味深い。
國松先生の連載も、最終回の今号は増量版。患者のようすを精神科のことばを「借りて」言語化する、そのことの利益。
2021年度の増刊号から2冊みてみよう。治療薬と臨床検査。いずれもケアの現場で疑問を生じるような情報にフォーカスされている。
『現場で使える くすりの知識』は、治療薬全部をカバーするのではなく、ケアの現場に共通して頻用される薬剤にフォーカスされている。眠剤、抗不安薬、NSAIDs、不穏時のくすり。処方するのは医師ではあるのだが、投与の介助や投与前後の観察は現場に委ねられている。そして、事前指示されることの多い薬剤の使い方。指示があるといっても「不穏時」とあるだけの簡単なものなので、夜間当直で判断に迷う。
『現場で使える検査値の読み方』も、臨床検査全般ではなく、ケアの現場で共通に調べられるものにフォーカスされている。また、高齢者で生じる検査値の変化や解釈の注意点もある。
CRPに関係するサイトカインは、先日の医師国家試験にも出題されたばかり。この別冊を読んでいたら迷わず解答できたろう。
コメントを投稿するにはログインしてください。