分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議

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河合 香織
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新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の発足から緊急事態宣言へ、そして専門家会議の解消と分科会発足までを、緊迫した筆致で描くノンフィクション。

筆者の意見を差し挟まず、光景を淡々と、しかし人物たちの情熱と圧力を生き生きと描写する。下はクラスター対策班に初めて学生ボランティアが参加したところ。国立感染症研究所からのデータへのアクセスがクラスター対策班にないなか、自治体のプレスリリースから手作業で数値を抽出していた。

 

クラスター対策班に学生ボランティアが参加

 

多くの人物が言及されその言行が記録されているので、読んでいると混乱してくる。まとめておこう(役職は当時)。

登場人物(公表されたリスト、または紙面での登場の順)

  • 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
    • 座長
      • 脇田隆字(国立感染症研究所所長)
    • 副座長
      • 尾身茂(地域医療機能推進機構理事長・基本的対処方針等諮問委員会会長)元WHO西太平洋地域事務局長、同地域ポリオ根絶に成功、SARS根絶を指揮、新型インフルエンザ等対策有識者会議会長
    • 構成員
      • 岡部信彦(川崎市健康安全研究所所長)
      • 押谷仁(東北大学大学院医学系研究科教授)元WHO西太平洋地域事務局感染症対策アドバイザー、SARS制圧、クラスター対策を考案
      • 釜萢敏(日本医師会常任理事)高崎市小泉小児科医院院長
      • 河岡義裕 (東京大学医科学研究所感染症国際研究センターセンター長)
      • 川名明彦(防衛医科大学校医学教育部教授)
      • 鈴木基(国立感染症研究所感染症疫学センターセンター長)
      • 舘田一博(東邦大学医学部教授)
      • 中山ひとみ(霞ヶ関総合法律事務所弁護士)
      • 武藤香織(東京大学医科学研究所教授)社会医療学
      • 吉田正樹(東京慈恵会医科大学医学部教授)
    • 座長が出席を求める関係者
      • 大曲貴夫(国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長)
      • 今村顕史(東京都立駒込病院感染症科部長)
      • 西浦博(北海道大学大学院医学研究院教授)
      • 和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)
      • 小野寺節(東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授)
      • 内田勝彦(全国保健所長会会長、大分県東部保健所)
      • 大竹文雄(大阪大学大学院経済学研究科教授)
      • 鶴田憲一(全国衛生部長会)
      • 林基哉(国立保健医療科学院)
      • 中澤よう子(全国衛生部長会会長)
      • 清古愛弓(全国保健所長会副会長)
      • 木村正(日本産科婦人科学会理事長)
  • 新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会
    • 田中幹人(早稲田大学政治経済学術院准教授)リスクコミュニケーション
    • 齋藤智也(国立保健医療科学院健康危機管理研究部長)専門家と行政との調整役
  • ボランティア班
    • 金森万里子(東京大学大学院公衆衛生学専攻生)
    • 山崎里紗(長崎大学医学部4年)
    • 仁宮洸太(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 関係閣僚等
    • 内閣総理大臣 安倍晋三
    • 官房長官 菅義偉
    • 厚生労働大臣 加藤勝信
    • 経済再生担当大臣 西村康稔
  • 厚生労働省
    • 正林督章(医系技官)新型コロナウイルス感染症対策本部事務局長代理。厚労相アドバイザリーボード(内閣官房専門家会議に移行)を進言、ダイアモンド・プリンセス号支援チームを指揮
    • 鈴木康浩(医務技監)
  • 地方
    • 大阪府知事 吉村洋文
    • 大阪市長 松井一郎
    • 兵庫県知事 井戸俊三
    • 藤井睦子(大阪府庁健康医療部長)
    • 東京都知事 小池百合子
  • WHO
    • 葛西健(西太平洋地域事務局長)
  • 分科会
    • 今村顕史(東京都立駒込病院)
    • 小林慶一郎(東京財団)
    • 鳥取県知事 平井伸治
  • 歴史上の人物
    • 鴨長明(『方丈記』著者)
    • 後藤新平(第7代東京市知事、医師)
    • レヴィ・ストロース(文化人類学者)
  • その他
    • 畑中洋亮(奈良県医療器危機対策総括官)
    • 横倉義武(日本医師会会長)
    • 福山哲郎(参議院議員、立憲民主党)
    • 牧原出(東京大学先端科学技術開発センター教授)特措法下の新会議体を進言

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