忙しい人のための公衆衛生
公衆衛生学は医師国家試験で最も多く出題される。第115回では全400問中55問(約14%)を占めた(メディックメディア調べ)。
重要なのは重々承知していたとしても、国試対策では暗記科目とされて先送りにされがちだ。ようやく取りかかったとしてもQBをやって乗り切るくらいが御の字。
本書は、こと公衆衛生学になると「忙しい」と言い逃れしてきた人のための本だ。勉強したら面白いから、と筆者はいう。そりゃ、産業医事務所のお医者さんだからそうでしょう。しかし、2時間程度で読めるからともいう。そこまで言うなら… コロナ対策でもやもや気分だし…
全体が7つの章にわかれていて、全部で約200ページある。ん? 2時間で読むには1ページを40秒で読まないといけない。第3章は各論なので飛ばしてもよいとあるので(50ページ分削減)、1ページ50秒くらいか。
もくじ
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- 序章 公衆衛生が重要な理由
- 第1章 すべての国民の健康の定義や目標
- 第2章 特に健康に気をつけるべき対象とその根拠法
- 第3章 それぞれの対象の健康をつくる活動
- 第4章 すべての国民を対象とした健康を守るための活動
- 第6章 公衆衛生の研究手法
読んでみると、概略が要領よくまとめられていて、例や図表も活用され、わかりやすい。序章と第1章だけでも、専門家委員会と行政が何やってんだかとか、PCR厨のいうことがどうなんだかとか、スッキリしてくる。
要所要所に、要点が「Point」としてまとめられていて、章末には例題があって、理解の漏れのチェックになる。例題は医師国家試験から取られているので、国試対策にもなる。国試対策書にいきなりタックルする前に、本書で概略を脳内につくっておくと、効率的に勉強できるだろう。そもそも、あとで医師になってから役に立つ。
筆者は学び始めが一番楽しいという。確かにそうだ。試験がまだ先だから。もう試験のない卒後ならまた楽しめそうだ。医師になって原著論文を読もうとか臨床研究をやろうとか、いうときには、第6章が重要になる。そうでなくとも、診療にはエビデンスの強さを納得しておくことが重要だ。そういうときにもここを押さえておきたい。
先送りしすぎると、楽しめるチャンスを逃す。勉強 スマホゲーム SNS の合間に2時間作って読んでみよう。
本書を読むと、コロナ関連の本もよりよく理解できそうだ。
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