コロナ読書リスト — 疑問別のオススメ
なんか調子変なんですけど?
國松 淳和氏(南多摩病院総合内科)は、内科医で多数の著作があり編集者らから鬼才とも賞され、SNSでも積極的に発信している。新型コロナウイルス感染症のまん延に端を発する心身の不具合を「シャムズ」(CIAMS;COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status)と名付け、本書を書いた。このところメンタルが不調になっている人が実際に増えているらしい。まさかというような芸能人の自殺も報じられている。自分で何か変だなと感じることがあったり、周囲にこれまでと少し違うなと感じるひとがいたら、この本を読もう。
専門家会議のおじいさん誰?
尾身茂氏(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)は、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長を務め、マスコミにも度々登壇している。好々爺のような風貌に見合わず、かつてWHOで西太平洋地域のポリオ根絶を主導し、SARS対策の陣頭指揮を執るなど、世界に冠たる業績を誇る。本書には、尾身氏が青春の彷徨の末に公衆衛生を目指した経緯、WHO勤務時代の感染症との戦い、今後の社会の在り方が記されている。
8割おじさんって何してるの?
西浦 博氏(もと北海道大学教授、8月から京都大学教授)はいまは「8割おじさん」として知られるが、理論疫学の日本の第一人者として厚労省クラスター対策班の数理モデルを主導してきた。西村氏は、新型コロナウイルスが発症前に感染のピークがあることをデータをみて早くから見抜いていたという。西浦らのクラスター対策班の解析に基づいて提唱された「3密」は、現在では「3C」として他国の感染症対策にも活かされている。本号では、その西村氏が自身の数理モデルを解説する。
そもそも専門家会議ってなんだったの?
ドキュメント 感染症「専門家会議」 国家の命運を託された3人の研究者|文藝春秋digital
押谷仁氏は、WHO西太平洋地域事務局に勤務していた期間中にSARS対応にあたり、当時西太平洋地域事務局長だった尾身茂氏らとともにその事態収拾を行った。西浦博氏「8割おじさん」と名付けたのは他ならぬ押谷氏だ。
空気感染するの? 接触感染は?
坂本史衣|新型コロナはどのように感染する? 感染経路に関する最近の考え方
坂本史衣氏は感染管理専門家で、SNSでも積極的に発言している。
日本の成果報告はあるの?
Furuse, Y., Sando, E., Tsuchiya, N., Miyahara, R., Yasuda, I., Ko, Y. K., et al. (2020). Early Release – Clusters of Coronavirus Disease in Communities, Japan, January–April 2020 – Volume 26, Number 9—September 2020 – Emerging Infectious Diseases journal – CDC. Emerging Infectious Diseases, 26(9), 727. http://doi.org/10.3201/eid2609.202272
クラスター対策班による論文。日本の1月から4月までに発生した3千あまりの感染者、61のクラスターを追跡して解析し、「3密」のリスク、新型コロナウイルスの感染性のピークが発症前にあることなどを示した。
Tabata, S., Imai, K., Kawano, S., Ikeda, M., Kodama, T., Miyoshi, K., et al. (2020). Clinical characteristics of COVID-19 in 104 people with SARS-CoV-2 infection on the Diamond Princess cruise ship: a retrospective analysis. The Lancet Infectious Diseases. http://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30482-5
ダイヤモンドプリンセス号からのCOVID-19患者を多数受け入れた自衛隊中央病院から、104名の症例のまとめ。予後悪化のリスクファクターを提言した。(余談)他院で院内感染が相次いだ中、生物兵器への対応も訓練していた自衛隊中央病院では院内感染者ゼロだった。
Amazon Primeビデオでみたい
医療考証がよくできていて、興味深い。鳥インフルエンザがアジアの農村で発生している描写など、公衆衛生学的な考証のあとがみられる。