プロメテウス解剖学 コア アトラス 第3版

本学の医学生によく使われている『プロメテウス解剖学 コア アトラス』が改訂され第3版になった。まえがきにあるとおり、画像解剖学が各章のおわりにまとめられ増強された。全体に新しい知見が反映された。また、神経系が改編された。本のボリューム自体は、第2版と変わらない。各章の割合も変化はない。

プロメテウス解剖学 コア アトラス 第3版

左が第3版、右が第2版。全体、各章とも、ボリュームに変化はない

まえがき
本書の最大の特徴は、精細を極めたイラストレーションだ。担当したイラストレーターは、Wesker氏とVoll氏の2名。Wesker氏は主に骨、筋、神経、Voll氏は内臓を担当している。タッチに微妙な差違はあるが、よく揃えられていて、サインがなければ見分けるのは難しい。

Wesker氏作

Voll氏作
本の内容のほとんどがこれらのイラストレーションで、少しの表と記事がある。教科書的な説明はほとんどないので、教科書の代わりにはならない。ただし、臨床にも関わりの深い内容には、傍らに臨床関連事項をまとめたコラム「臨床BOX」がある。

冠動脈の解剖と心筋梗塞の臨床BOX
臨床解剖学などからの新しい知見による改変が特に大きいのは、骨盤部だ。骨盤底筋、尿道括約筋などの図が差し替わり、男女別に詳しくなった。骨盤部の解剖実習のときに混乱が少なくなるだろう。

骨盤底筋の解剖。上が第3版、下が第2版

尿道括約筋の解剖。上が第3版、下が第2版

背腹がCTと揃えられた。左が第3版、右が第2版
断面解剖と画像解剖が各章のおわりにまとめられた。

断面解剖

画像解剖にはいくつかのモダリティーが呈示される。ここではXP、気管支造影、MR

CT。縦隔条件と肺野条件が1つの図に合成されている
中枢神経系では、肉眼解剖学を中心とした図に改められた。

神経解剖学は肉眼解剖学を中心に。たとえば、ブロードマン野は廃止。左が第3版、右が第2版
改訂によって、解剖学履修生の教材としてよりよいものになった。特に、従来弱かった画像解剖学、学生の混乱を招いていた骨盤部の増強は好ましい。
必要に応じて図が描き変えられたり、新作になっていたりするのは、現役のイラストレーターが制作に関わっているから可能なのだろう。CGが使われ、複数のイラストレーターでタッチが揃えられ、一部の図は共同作業されているので、仮に新しいイラストレーターが変わっても、同じタッチで存続できるだろう。『ネッター』でも新しいイラストレーターが作業している。水彩画だが、精細なイラストになっている。
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