Welch Allyn ハロゲンペンライト 76600
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Welch Allyn社の医療用ペンライト。診療の実用に使われるほか、新人医師へのギフト用途にも選ばれることがある。日米のAmazonには、軽く落としただけで電球が切れるとか、スイッチが壊れやすいなど、脆弱さを指摘するレビューが連発している。耐久性が極めて低いと疑わざるを得ない。
*Welch Allynのサイトには「耐衝撃性と操作性に優れたハイグレードモデル」とある(笑
プロの用具にはピーク性能だけでなく可用性も重要だ。価格と耐久性を考えると、これよりも高演色性LEDの使われたペンライトを考慮したほうがよい。Lumintop社やNITECORE社はJISやANSIの試験を通すなどしている。Lumintop IYP365やNITECORE MT06MDも検討しよう。
Welch Allyn 76600をIYP365と比較しながらみていこう。なお、耐久性についてはテストしていないので不明。(エビデンス出すのに数10本買うのはちょっと…)
76600もIYP365も電源はAAA乾電池2本だが、IYP365のほうがすこし短い。76600は真鍮製で重いが、高級感はある。防水ではない。IYP365はアルミ製で軽く(少し重いチタン製、重い真鍮製もある)、1.5m耐衝撃、IPX8級防水。
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Welch Allyn 76600(手前)とLumintop IYP365(奥)
76600の光源はハロゲン球で、覗くと電球のレンズがみえる。
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ハロゲン球
スイッチはプラスチック製のスライドスイッチ。本体の端側にスライドさせるとON。端から飛び出た部分を押してスライドさせるとOFF。操作性は悪くないけれども、スイッチを親指側に向けて持たないとONの操作はできない。
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スライドスイッチ
クリップにはプラスチックのカバーがあり、白衣のポケットを傷めにくいだろう。ロゴが大きく印刷され、一見して高価な例のアレを使っているというアピールになり、スノッブなスタイルに。
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クリップ
電池交換は、電球ユニットを外す。電球交換はユニットごとの交換になる。中の電球だけの交換はできない。
ねじ部周りの工作精度は高そうだ。本体は真鍮製だが、研削後にメッキされ、塗装されているようだ。表面は梨地で、手で持ったときに滑りにくい。塗面は硬そうだが、IYP365のアルマイト処理には及ばないようだ。
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電池交換と電球交換には電球ユニットを外す
配光の様子を比較してみよう。IYP365は日亜製の高演色性LEDの219BT(現行製品は219CT)で、色温度4000K。LOW(1.5ルーメン)とMID(25ルーメン)に切り替えて比べる。照射面との距離は6センチ。
IYP365の配光は、中央部が明るく、その周りにハローが広がる。暖白色の自然な色調だ。
76600の明るさは、IYP365のLOWとMIDの中間。配光の縁がシャープで、対光反射で瞳に入る光を切り替えるのに便利そうだ。ただし均一ではなく、フィラメントの像や縞模様が目立つ。これは照射距離を変えても消えない。色温度が低いので目立たないが、レンズの色収差による周辺部の色付きもある。
76600の色温度はかなり低く、オレンジ色にみえる。屋内照明が白色蛍光灯やLEDで、視覚がそれに順応している場合には(日本ではだいたいそうだ)、色調の判断に注意を要する。血色が実際よりもよくみえるかもしれない。
電球なので数分ONにしているとランプ部が熱くなる。IYP365はHIGHで使うと暖かくなる程度。
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76600(右)とIYP365(LOW 1.5ルーメン)
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76600(右)とIYP365(MID 25ルーメン)
この個体に関しては、光軸のズレが目立った。ねらった方向と光がズレるので、ちょっと違和感がある。落としただけで光軸がずれたとのレビューもあるので、この個体も落としたことがあったのかもしれない。
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この個体は光軸ズレが目立った
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