もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典
本書には最後にオチがある。ネタバレはしないでおこう。
著者は感染症屋「イワケン」先生、挿絵は『もやしもん』作者の石川雅之先生。「メディカル朝日」(2016年11月号で休刊)の連載の単行本化。全ページカラーで、見開きに一つずつ菌やウイルスが語られ、読みやすい。
微生物学は、学生にも医師にも最も不人気な科目の一つだ(参照:「学生時代の基礎医学の中で、もっとも役立った科目は何ですか」)。細菌をまとめた表を「重要だから」とプリントで渡され、丸暗記して試験後に忘れるような科目だ。
しかし医療関係だけでなく文化や政治まで、微生物は人類の歴史に大きく関わってきた。そういうネタをバックに勉強したら、微生物学はもう少し楽しいだろし、役立つのではないか(*1)。本書はそういうネタを提供してくれる。
見開きにひとつずつ、微生物が語られる。全部で72種。一般向けの書籍だから微生物の試験で問われるようなディテールはないけれども、微生物の授業前に読めば、勉強のモチベーションが上がるというもの。余白に試験のポイントを書き込めば対策資料になりそうだ(*2)。
岩田先生と石川先生のコラボレーションは、先に『絵でわかる感染症 with もやしもん』がある。こちらのほうがすこし専門的。
*1 「学生時代の基礎医学の中で、もっとも役立った科目は何ですか」のアイキャッチ画像は解剖学関係でなく、あえてパスツールにしてある
*2 本学の卒業生が『もやしもん』をもとにつくった試験対策資料『菌名鑑』がPANDORAにある
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