臨床に不可欠な学び方覚え方テクニック

三つもの課題が提出期限を過ぎ、図書館には相当な延滞料もたまって、家に帰れば散らかし放題……。「なんとかしなくちゃ、このままじゃいけない」という思いはあるけど、そんな思いにも追いつめられてる。いつも誰かに追いつくことばかり考えているような気がするわ。—ショブナ 2年生

 

医学部に入ってから一番重要だと思ったのは、勉強のやり方を教わったことだったわね。でもバカなことにそれを2年になるまで自覚してなかったの。—レベッカ 最終学年

 

ショブナレベッカが他人事ではない気がしたら、この本を読もう。

ひとつはっきりといえるのは、「君たちは頭がよい」ということ。(中略)しかし、残念ながら、医学部ではこれまでのようなやり方は通用しない

 

勉強法一般の本は沢山あるけれども、医学部限定のは少ない。大学生活のアドバイスの本もあるけれど、だいたいは文系の人が書いていて医学部とは合わないこともある。

本書は、医学部で学生が勉強で悩みそうないろいろなことにアドバイスを与えている。原著は英国の本で、医学・医療で成功するためのハウ・ツー本のシリーズの中の一冊。日本と教育システムが少し違うので、日本なら研修医まで役立つはずだ。

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目次

第1章では、自身の学習のクセを、いくつかの設問にこたえながらみつけていく。どれが正解ということではなく、それを自覚することが大切で、そういう学生の方が成績がよい傾向があるそうだ。

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正直に答えよう。

第2章で具体的な勉強法を考える。ここまででも読んでおくと、実際の授業でいらぬ苦労を避けられるだろう。あとは自分のニーズによって読めばよい。2〜3年生までなら第3〜7章は飛ばして大丈夫。ライフサイエンスの範疇のレポートの課題がでる授業なら第6章が役に立つ。

第8章では、学習をどうやってやりくりするかを考える。解剖の授業が始まる前にはここも読もう。

第9章は試験準備の勉強法のアドバイス。ここまで読んでおくと、試験前夜に絶望することも避けられる。試験に落ちた場合の陳情のしかたのアドバイスもある(少なくとも、どういう理由なら通用しそうかはハッキリする)。

OSCE対策なら、第3〜5章も読もう。ポリクリで漫然とスタンプ集めをしているなら、第8章でポートフォリオが何か知っておくとよい。(指導している先生もよくは知らなかったりするから。)

原著者の2人はいずれも、ロンドン大学セントジョージ医学校で臨床と教育に携わっている。セントジョージ校は、「近代外科学の開祖」ジョン・ハンター、種痘法を開発したエドワード・ジェンナー、『グレイ解剖学』第1版の著者ヘンリー・グレイなどを輩出した名門校だ。

訳者はいずれも病院で臨床や研修医の教育にあたる医師。にもかかわらず、日本語版は原著より安い。

勉強法の本は、いわれなくてもできる人には要らないといわれるし、本当に必要な人には敬遠される(誰も本にまで叱られたくはない)。最も役立つはずだったタイミングは、すでに遅いか、差し迫りすぎている。多くの学生が早い時期に本書に気づいてくれるとよいが。

医学科でない方に:

医学生や医学生に関わりのない方がこの記事を読んだら、医学生ってそんなに追いつめられるほど勉強するの?と疑問に思われるかもしれない。

積み上げると15センチにはなる教科書を実習込み3か月200時間超で勉強したり(これで1単位)、20センチにはなる教科書・60時間はあるビデオ講座と20センチにはなる準拠テキストなどで(授業とは別に)国試対策をする。大学入試よりよほど勉強する、という学生は少なくない。