生理学の教科書は何が良いか

生理学の教科書の評判を、日本、アメリカ、イギリスのAmazonで調べた。下が良いように思われた。

方法

各国のAmazonで生理学の本のカテゴリーから医学科向けの教科書を選択。翻訳書については対応する原著の最新版を調査。

考察には売れ行きとレビューを基にし、デザインを参考にした。内容は読まず、読んでも考察には加えない。(調査者は生理学の専門家ではないので)

『ガイトン生理学』の原著13版は発売間もなくレビューが無いため、前版のレビューで代用した。『標準生理学』も発売間もなくレビューが少ないので、数値は最新版を使ったがレビュー内容は前版のも参照した。

米国では大学教科書の古書の流通が盛んだ。よく使われる教科書では、Amazonのレビューに古書の状態や古書店に関するレビューが混在し、評価の平均を下げていることがある。

結果

タイトル 米国Amazon 英国Amazon 日本Amazon
原題 和名 評価平均 評価数 ランキング 評価平均 評価数 ランキング 評価平均 評価数 ランキング
Physiology, 5E コスタンゾ明解生理学 原著第3版 4.6 42 9274 4.2 4 131,540 4.8 6 238,279
Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13E ガイトン生理学 原著第11版 4.3 97 10,334 4.4 25 32,942 4 2 165,642
Ganong’s Medical Physiology, 24e ギャノング生理学 原著24版 3.2 16 254,086 3.2 5 202,665 5 1 81,514
Human Physiology, 4E オックスフォード・生理学 原著第3版 5 1 1,784,081 4.7 3 84,148 0 348,149
Physiology Cases and Problems, 4E 症例問題から学ぶ生理学 原著第3版 4.7 10 107,325 0 207,487 0 395,419
BRS Physiology (Board Review Series), 6E 4.8 25 3,386 5 1 157,944
標準生理学 第8版 4 2 93,150
生理学テキスト 3.8 14 92,690

同じ教科書でも国によって売れ行きに差がある。本全体の販売順位では、日本では生理学書は高くない。レビュー件数も少ない。これに対して、英米ではよく売れている。米国ではレビュー件数が多い。

日本では『ギャノング生理学』、『生理学テキスト』、『標準生理学』が最も売れていた。

日本でレビュー件数の比較的多いのは、『コスタンゾ明解生理学』と『生理学テキスト』だった。

『コスタンゾ明解生理学』はアメリカでよく売れており、各国で高評価を得ている。日本語版は原著より安い。

『ガイトン生理学』は英米で好評価を得ており、よく売れている。日本語版の価格が原著よりかなり高価だ。

『生理学テキスト』は学習者から評価が高いが、内容の簡略な点を不足とする意見もある。

『オックスフォード・生理学』は、英国でよく売れ高評価を得ているが、日本及びアメリカでは売れていない。

『症例問題から学ぶ生理学』は米国で高評価を得ている。原著は改訂されカラーになっている。

『標準生理学』は網羅的であることをよしとするレビューが多い一方、詳しすぎ・文字が小さすぎとする意見もあった。

『ギャノング生理学』は、日本では好評価を与えるレビューもあるが、米英では「Absolutely appalling!(最悪!)」、「Worthless(買って損した)」、「this book is terrible – organization and explanations suck(酷い。構成と説明が最低)」など、最低レベルのレビューが並び、売れ行きも悪い。

『BRS Physiology』は米国のUSMLE Step 1対策のテキストで、一般書と比較してもベストセラーといってよい。評価も高い。日本語版が改訂されていない(そのため調査していない)。同じ著者で、教科書、ケーススタディー、レビューを揃えて学べたはずなのだが。

考察

生理学を学ぶための教科書としては『コスタンゾ明解生理学』、『生理学テキスト』、『ガイトン生理学』から選択するのがよいと思われる。

『ガイトン生理学』は高価なので、授業がこれを求めているかどうかを勘案した方がよい。生理学書のニーズの高いアメリカに倣うとすれば、『コスタンゾ明解生理学』を教科書に選択し、詳細な知識探求に『ガイトン生理学』を参照するのがよいのであろう。『ガイトン生理学』の価格設定を誤らなければもっと売れているはずだ。出版社の再考を願う。

『オックスフォード・生理学』は、授業との関係 (*) によっては考慮され得る。

『症例問題から学ぶ生理学』は、『コスタンゾ明解生理学』と同じ著者によるものであり、合わせて利用することは理にかなうと考えられる。原著は改訂されカラーになっているので、日本語版の改訂が待たれる。

『標準生理学』は網羅的であることが特徴と考えられるので、それを学習することが現実的かどうかを勘案して選択すべきと思われる。

『ギャノング生理学』(旧称『医科生理学展望』)は日本では長く使われているが、英米の評価を考えると敬遠すべきと思われる。

* 確認された限りでは、慶応大、群馬大で指定教科書として、千葉大、東京医科歯科大、東京女子医大、東邦大で他の教科書とともに参考書として挙げられている。

米国の医学生の例

米国でベストセラーの3冊を使った。『ガイトン』は学部生のときにも使った(米国では学部卒業後に医学科を受験する)。

アップデート

  • 2017/5/12 『生理学テキスト』の改訂に合わせ、リンクを差し替え(データはもとのまま)
  • 2016/2/2 記事のレビジョンがふるいものと置き換わっていたのを2015/11/24のものに戻した。『オックスフォード生理学』の改訂を反映(データはもとのまま)
  • 2015/11/24 YouTubeのビデオを追加
  • 2015/3/20 データ更新
  • 2014/6/19 3件更新
    • 『生理学テキスト』『標準生理学 第8版』『ギャノング生理学 原書24版
  • 2013/2/21 最初の投稿

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