第116回医師国家試験の合格状況

2022年3月16日14時に第116回医師国家試験の合格者が発表された文部科学省TECOMなど公表のデータをもとにまとめた。

大学別合格率

下のグラフは、新卒受験者中の合格率(合格者数 ÷ 受験者数)の大学別比較。

 

 

国試志願の後に卒業試験などで受験者を選抜すると、国試合格率は上がる。下のグラフは、新卒予定者の正味合格率(合格者数 ÷ 志願者数)と新卒者の受験率(受験者数 ÷ 志願者数)の大学別比較。ここでの「合格率」は、一般に公表されている合格率(合格者数 ÷ 受験者数)ではないことに注意されたい。欠席者の一部はCOVID-19関連で受験できなかったかも知れない。

 

 

大学別歩留まり

入学者のうち国試に合格するのがどのくらいかの目安のため、過去10年分の集計をもとに歩留まり(第107~116回の合格者総数 ÷ 2007~2016年度の入学定員総数)をグラフ化。追跡調査ではなく、実際の入学者数は公表された定員とは異なることがあるので、推測以上ではない。歩留まりを平均すると96.2%になる。新卒受験者数を卒業数の近似とみなし、その歩留りも算出した。平均97.9%になる。

入学した医学生のうち卒業に至る割合と国試合格になる割合(再受験も含め)が近い。卒業までの学内選抜が甘すぎず実施され、在学中のサポートが適切に実施されていることがうかがわれる。再受験の合格率が回数ごとに2割ずつ低下してしまうことを考えれば、留年でも初回合格を狙えたほうが国試にはよい。ただし、多年留年の問題は生じるだろう。

 

 

国試留年回数別合格率

既卒者の合格率は受験回数が増えるごとに低下する。受験者数の軸が対数であることに注意されたい。

 

 

国試合格率などの年次推移

第1回以降の国試合格率と受験者数の年次推移をグラフ化。

年複数回の試験はまとめて集計した。第2回(1946年)から第78回(1983年)までは年2回国試が実施された。1968年は3回あった。これは、1967年のインターン制度廃止を求めた国試ボイコット(実際に受験したのは全体の13%、404名)の影響である。

1970年代は相次ぐ新設により医学部の数が倍増、合格率が低下した(Internet Archive)。現在の国試は半相対評価なので、制度的に大きな変動は生じにくい。第93回〜94回(1999〜2000年)の合格率低下については、出題方針の変更への対応不足が指摘された。

 

 

主なデータソース

注:ここに提示したグラフはネット上で公表されたデータを参考にまとめたものです。

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