Gray’s Anatomy for Students, 4E

グレイ解剖学』の原著がこの春に改訂され第4版になった。日本語版も続いて改訂されるだろうけれども、先に内容を簡単にみていこう。

ペーパーバックにコート紙の表紙で、簡素な装丁。表紙に解剖図と医用画像とが対比されていて、本書で画像解剖学がフィーチャーされているのを物語っている。著者3人の内、ふたりは解剖学者、ひとりは医用画像の専門家だ。

シュリンクラップされていて立ち読みできない。シュリンクラップの理由は、従来同様デジタル版が冊子体に附属していて、それにアクセスするためのスクラッチコードがあるからだろう。

電子版は StudentConsult にある。StudentConsultInkling 上に設けられているが、コードを使うには StudentConsult のページから登録する必要がある。登録すれば、ブラウザの他、iPadやiPhoneの Inkling アプリ、Androidの Inkling アプリでよめるようになる。

シュリンクラップ

 

デジタル版附属

 

表紙の裏側の銀色の部分をスクラッチすると、デジタル版にアクセスするためのコードが現れる

第4版での主な変更は下の通り。

  • 増え続けるコンテンツに対処するために、臨床症例などの紙面にあった内容を電子版に移動。
  • 臨床関連の囲み記事とそれに使われる臨床画像の増強
  • 電子版の増強
    • 系統解剖学の章を追加
    • 神経解剖学の章を追加
    • 自己学習用のコンテンツの増強

冊子体のほうは大きさ、厚さとも第3版と大差ない。大きな美しい図を使ってゆったりとページレイアウトされているのも同様。全体の構成も同じだ。各章の扉には、電子版のコンテンツへの参照がある。

本文の英文は平易、簡潔で、よみやすい。医学英語になれるのにも勧められる。

大きな美しい図版とゆったりしたレイアウト

 

章の扉

第1章が解剖学の概説。電子版に系統解剖学が入ったので冊子体はごく簡単な内容だが、方向用語など要点は押さえられている。また医用画像の概説がある。

第1章にある、医用画像の概説

第2章以降が局所解剖学で、本書の根幹を成す。章の順番はおよそ解剖学実習の順番になっている。解剖学実習の予習に使えば、実習で学ぶべきことを見おとさないですむ。

各章とも概論「Conceptual overview」から始まり、局所解剖「Regional anatomy」、臨床症例「Clinical cases」と続く。詳しさが層状になっているので、Conceptual overviewまでをまず読み通す使い方もいいだろう。臨床症例は紙面上には各章とも2件ほどだが、電子版には10数件が掲載されている。

概論

 

局所解剖

 

臨床症例

本文中に増えたのが、臨床関連記事「In the clinic」だ。数が増えただけではなく、新しい医用画像や術中画像が豊富に使われている。

脊柱の癌とPET

 

網膜のOCT画像

 

術中画像と解剖図との対比

一部の画像には簡単な線画がついている。これを空で描けるように練習すると、自分自身の知識の整理から医師になってからの診察時の説明まで、いろいろと役立つはず。

線画

電子版にだけある神経解剖学の章は、冊子体の他の章と比べると、付け足りのような感がある。使われている図の多くは、エルゼビア社の他の書籍、たとえば『臨床神経解剖学』などから流用されているようだ。

神経解剖学

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