解剖手技のポイント(WEEK2〜4)

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WEEK2の解剖手技で指導することの多かったポイントをまとめる。WEEK3〜4で引っかかりがちなポイントも。

皮切

真皮と皮下組織の境界で分ける。

  • 示指と中指で皮膚を拡げながら切る。真皮まで切れると切り口が開き、脂が滲む
  • 皮膚をピンセット(大)でつかんで強く引き、引き伸ばされた線維にそっとメスを当てる
  • 体表に対してメスの角度を浅く。角度を深くすると皮下組織まで厚く剥がれる

鈍的剥離

解剖は鈍的剥離の連続。皮切が済んだらメスをしまう。やりかたのいろいろ:

  • ハサミを閉じて差し込み、ハサミを開いて剥離し、開いたままハサミを引く
  • ピンセット(小)、ピンセット(イカ)の2本でつまんで引き剥がす
  • プローブを差し込んだり、カーブしている部分で押し開いたりする
  • 指を差し込んで剥がす

剥離を加減する

組織の性状により剥離のしかたを加減しよう。

  • 硬めの組織のなかから神経をみつける(大後頭神経など):主にハサミ。場所の目処をつけるのが重要
  • 結合組織に覆われている血管と神経がでてきた(僧帽筋の裏の副神経など):血管と神経を分けて露出させる。ハサミとピンセットで
  • 柔らかめの筋を軟らかい結合組織のなかから探す(後頭下筋):筋の表面をたどりながら慎重に結合組織を除去
  • ベールのような薄い深筋膜を剥がす(広背筋、胸筋など):ピンセットでそっと引っ張り、ハサミの刃で線維を刈る。筋束が脆いので筋膜といっしょに引きちぎらないよう
  • 堅く厚い深筋膜を剥がす(棘上筋・棘下筋など):筋膜を引っ張ると筋束の方が壊れる。ハサミやメスの刃も必要。皮膚をはがすような要領も。腱に移行していくので、全体を見ながら慎重にやらないと、いつのまにか腱を切っている
  • 腕神経叢:神経叢が鞘に覆われている状態をまずみる。鞘の外は脂肪があるが、鞘の中は脂肪がない。鞘をハサミで切り開く。中の結合組織は軟らかいので、指でしごくと自然に神経がわかれる

神経や血管の同定

  • 外見
    • 静脈は壁が薄くてひしゃげて赤黒く、みつかりやすいが切れやすい
    • 動脈は細い円筒で、白く、鈍角に分岐
    • 神経は白く縦すじがあり、鋭角に分岐し、裂ける。引っ張ってもなかなか切れない
  • 見えた部分の形や位置で推定(外科手術のときは侵襲を最少にするので)
    • 個人差あるので形だけでは確定しにくい
  • 解剖のときは、分岐、向かう方向、通る穴、支配するものまで剖出して確定

筋の表

  • 実習書にある筋の表をみて、起始停止、支配神経、作用を実地で確認

脳神経を覚える

  • 脳神経の番号、名称(日本語と英語)、主な働きを暗記しておく
  • 僧帽筋→副神経→第11→頚静脈孔→胸鎖乳突筋、というようにつぎつぎ言えるよう

筋を翻転する

  • 筋の表面の結合組織を、起始停止、縁まで取り除く。途中でやめない
  • 筋の裏側を起始停止まで、プローブや指で剥離する。筋の作用の向きに関節を動かすと、筋が緩んで作業しやすい
  • 実習書の通りの位置で筋腹を切る(神経などを避けられる位置になっている)
  • 端まで十分に翻転する。結合組織が残っていると端まで翻転できず、次の筋の翻転がしにくい

剖出チェックの前に

  • 剖出した構造の意味を調べておく(神経や血管ならつながりなど)
  • 解剖学名をいえるようにしておく(日本語と英語)
  • プローブやピンセットで説明する部位を示し、代名詞を使わずに解剖学名で話す
  • 方向をいうときは解剖学的正位で。解剖台を座標軸にしない
  • 以上が答えられないとどうせリトライなので、準備できてからホワイトボードに

捜し物

実習で時間を費やしているのは捜し物。この時間を減らそう

  • 予習が大事
  • 実習書通りの手順や切る位置を守る。最適化されているから、指示通りやるのが間違いがなくて早い
  • アトラスや教科書も参考にして、調べながら、考えながら、目安をつけながら。出たとこ勝負でやってるとムダな作業ばかりで失敗多い

安全第一

  • 刃物を使うので、まず安全