第118回医師国家試験の合格状況
2024年3月15日14時に第118回医師国家試験の合格者が発表された。文部科学省やTECOMなど公表のデータをもとにまとめた。
大学別合格率
新卒者と既卒者の合格率(合格者数/受験者数)をグラフ化した。新卒全体の合格率は95.6%になる。
新卒正味合格率(合格者数/志願者数)も重ねた。国試志願のあとに卒業試験で受験者を選抜すると、見かけの合格率が上がる効果がある。
本学の新卒生は、見かけの合格率も正味の合格率も100%になった。
既卒者全体の合格率は、59.2%だった。
大学別歩留まり
入学者のうち国試に合格するのがどのくらいかの目安のため、過去12年分の集計をもとに歩留まり(第107~118回の合格者総数 / 2007~2018年度の入学定員総数)をグラフ化した。追跡調査ではなく、実際の入学者数は公表された定員とは異なることがあるので、推測以上ではない。全体で96.7%になる。
国試留年回数別合格率
既卒者の合格率は受験回数が増えるごとに低下する。受験者数の軸が対数であることに注意されたい。大学が既卒生をどうサポートできるかは課題だ。
国試合格率の年次推移
第1回以降の国試合格率と受験者数の年次推移をグラフ化した。
年複数回の試験はまとめて集計した。第2回(1946年)から第78回(1983年)までは年2回国試が実施された。1968年は3回あった。これは、1967年のインターン制度廃止を求めた国試ボイコット(実際に受験したのは全体の13%、404名)の影響である。
1970年代は相次ぐ新設により医学部の数が倍増、合格率が低下した(Internet Archive)。現在の国試は半相対評価(下記)なので、制度的に大きな変動は生じにくい。第93回〜94回(1999〜2000年)の合格率低下については、出題方針の変更への対応不足が指摘された。
合格基準の年次推移
第100回以降の合格基準もグラフ化した。医師国家試験は半相対評価になっている。
- 必修問題:医師として必ず知らないといけないこと。一定以上の得点が求められる絶対評価
- 一般問題:主に臨床的な問題。毎年の受験者の能力に大きな差 はないと仮定して、平均値と標準偏差値から合格ラインが決定される
- 禁忌肢:患者の死や重大な後遺症につながること、重大な法令違反に関する選択肢(非公開)。一定数を越えて選ぶとそれだけで不合格
参考:
- 医師国家試験 基本情報(メディックメディア)
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Imawari, Michio. 2015. “VI.医師国家試験の変遷と今後の方向.” 日本内科学会雑誌 104 (12): 2527–32. https://doi.org/10.2169/naika.104.2527.
男女別合格率、設立年
男女別では、女性の方が恒常的に合格率が高い。設立年と歩留りとの相関はない。
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