免疫ペディア

 

登場人物の多い物語が苦手だ。世界史や日本史は早々にリタイアした。免疫学はリタイアするわけにいかないけれど、本書なら登場人物は101らしい。ストーリー込みでイラスト付きならなんとかなるかもしれない。羊土社のサイトで一部を立ち読みできる

最初に、悲しいこと —— カバーイラストは『基礎免疫学 原著第5版』のように全面につかえたらよかったのに。これらの画師は本書の執筆者の1人で、『もっとよくわかる!免疫学』『マンガでわかる免疫学』の著者・原作者でもある。

 

カバーイラストの解説

 

序文 縦糸横糸のたとえ

 

本の内容は、基礎から臨床までの免疫学。医学部で免疫学を勉強しないといけないとか、研究で基本をおさえておかないといけないとか、病院の仕事で使うとか、そういうひとが読者になる。執筆者も多数、多岐。

 

もくじ

 

執筆者

 

本の構成がストレートフォワードで、取り組みやすい。各章の最初の見開きに、ダイアグラムで概要がある。そのなかに  Keyword  があって、それがあとのそれぞれの記事のテーマになっている。

それぞれの記事にまたダイアグラムがある。それをみれば記事の概要をつかめる。本文を読めば、詳しくわかる。

そういうわけで、VARKでいうと、ビジュアル系の読者に優しい。

キーワードが多様にあって、たとえば「花粉症」もカバーされている。毎年春になると自分で何が起きているのかも理解できる。

 

章の初めの概要のダイアグラム

 

各項目に、ダイアグラムと図表のまとめ

 

花粉症

 

本書の出版は2017年6月で、いまから6年半前になる。その間にも、免疫学にはいろいろあった。翌年2018年には免疫チェックポイントがノーベル賞になり、がん免疫治療につながった。新型コロナウイルス感染症では、RNAワクチンが使われ、これもノーベル賞になった。そろそろ改訂・追補してくれたら、読者としては安心だ。実験医学の特集のPDFがオマケでついてくるとか。いっそ、サブスクでもよい。

なお、免疫チェックポイントとがん免疫に特化した別巻が2022年にでた。(でも登場人物が増える ^^;))

 

「DNA」ワクチンが次世代だった

 

 

ひとつだけ。「リンパ節」というと組織学や解剖学では、腋窩・鼡径部・腸間膜などにあって、輸入リンパ管と輸出リンパ管があって、被膜・皮質・髄質があって、数ミリから数センチ大で、がんの手術で郭清されるアレなので、「腸管のリンパ節」はミスリーディングになってしまう。「リンパ小節」とか、語感は堅いけれども「腸管関連リンパ組織(GALT)」であれば間違いはない。

 

組織学では「リンパ小節」

 

本記事への紙面写真の使用について羊土社より快諾いただきました(2024/02/06)