The Ontogenetic Basis of Human Anatomy: A Biodynamic Approach to Development from Conception to Birth

The Ontogenetic Basis of Human Anatomy: A Biodynamic Approach to Development from Conception to Birth

The Ontogenetic Basis of Human Anatomy: A Biodynamic Approach to Development from Conception to Birth

Blechschmidt M.D., Erich
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解剖学のネタ本を一冊紹介しよう。この本の前書きにあるとおり、実際に教員用のネタ本として書かれたものである。原著はドイツ語で1978年刊。それを修正・英訳した2004年刊のが本書だ。

 

まえがき

 

実際、心臓内の流路を説明するときに、本書の図を利用してきた。「Flick of a wrist」「Wrist-flick」と、ドイツでは言われているらしい。

 

心臓の流路(左)、心臓のデコボコの形成機構

 

ちょうどクイーンの曲に「Flick of the wrist」というのがあって、動画を詳細にチェックしたが、フレディ・マーキュリーは心臓の流路の動作はやっていなかった。

 

 

この件は、『小説みたいに楽しく読める解剖学講義』でも紹介した。

 

小説みたいに楽しく読める解剖学講義

小説みたいに楽しく読める解剖学講義

村上徹
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本書の基本の考え方は、「Biodynamic metabolic field」が個体発生において形態形成を担うというもの。現代の分子生物学には継承されておらず、いったいなんのことか、読んでもなんとなくしか理解できない気がする。胚が生きているうちに物質の勾配が生じたり、液体の流れで押されたり、組織のテンションで形を変えたり、ということをまとめていったことらしい。

いまでいえばエピジェネティクスに関係することも含まれるだろうか。ノード流(原始陥凹付近で生じる液体の一方的な流れが左右軸を決定する)もそうだろうか。

たとえば、心室にある肉柱は、ゼリー状の心室壁が血流によって掘られてできるという。弁も同様で、心内膜枕が血流の渦で削られてできる。ふーん、そういうものかと思っていただけで、授業では説明しかねていた。

ところが、近年になって、その遺伝子機構が知られるようになってきた。なるほど。

  • Gunawan, Felix, Rashmi Priya, and Didier Y R Stainier. 2021. “Sculpting the Heart: Cellular Mechanisms Shaping Valves and Trabeculae.” Current Opinion in Cell Biology 73: 26–34. https://doi.org/10.1016/j.ceb.2021.04.009.
  • Wu, Mingfu. 2018. “Mechanisms of Trabecular Formation and Specification During Cardiogenesis.” Pediatric Cardiology 39 (6): 1082–89. https://doi.org/10.1007/s00246-018-1868-x.

 

Wu, 2018 より

 

Metabolic fieldについて詳しくは別書があるのでそちらを。

 

Biokinetics and Biodynamics of Human Differentiation: Principles and Applications (English Edition)

Biokinetics and Biodynamics of Human Differentiation: Principles and Applications (English Edition)

Blechschmidt, Erich, Gasser, R.F.
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