人類の進化大百科・化石になりたい
年末年始に、古生物学の本を2冊。いずれもサイエンスライターが執筆し、専門の研究者が監修している。
『人類の進化大百科』は、人類の進化を豊富な資料とイラストで概観する本。漢字にルビが入っているので、小中学生向けと思われる。
監修者、イラストレーターともに、各々著作がある。
見返しに人類の年表がある。表見返しはグラフィックな年表、裏見返しは表形式の年表。「人類」にも多くの種があったことが見て取れる。
若者2人が洞窟に迷い込み、そこで出会ったネアンデルタール人に連れられて過去にタイムスリップする、という設定になっている。
見開きの右端に、人類の系統樹があり、そのページで説明されている人類が系統樹に位置づけられ、それが起きた地域が地図にマークされている。時間と場所を確認しながら読めて、わかりやすい。
ヒトへの進化の仮説の考え方がいくつかの要所で押さえられる。二足歩行が脳の進化の原因、など、知ったかぶりをしないで済むだろう。
ネアンデルタール人とくれば、2022年のノーベル生理学・医学賞になったスベンテ・ペーボ博士。ネアンデルタール人のゲノムを化石から解読し、ネアンデルタール人と現代人との間に交雑があったことを示した。
ひとつ不思議に思うのは、ヒトのイラストに乳頭や外陰部が描かれていないこと。「進撃の巨人」のようにみえてしまう。小中学生向けなので、コンプライアンス的なことだろうか?
『化石になりたい』は、技術評論社の「生物ミステリー」シリーズの一冊。カタログ落ちしているかも知れない。表紙には若い女性がアンモナイトの化石を抱いてうっとりしていて、冒頭には、「死んだら化石になりたい。そんなふうに考えたことはないだろうか?」と変なことをいう。
化石になりたいひと向けの化石になり方のガイド、という設定になっているけれども、テーマはタフォノミーという古生物学の一分野で、化石がどのようにして化石になるのかを研究する学問。
化石というと、石になったカチカチのものが思い浮かぶが、実際にはいろいろの種類があるという。どのタイプの化石に向いているか、フローチャートが最初にある。
豊富な資料写真が使われ、それぞれの化石がどのようにできるかのメカニズムが説明される。
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