実習室に持ち込む本をどうする?
解剖実習では、実習書やアトラスを持ち込まないといけない。
解剖の手順など覚えてられないから実習書をみながらやるし、解剖しても名称は解剖体に書いてないからアトラスが必要。
問題は、どれも高価な本なので汚したくないということ。そして実習室では、濡れたり汚れたりふやけたり染みが付いたりしがち。
実習書は持ち込む人が多いが、それだけでは不足する。アトラスが必要だし、できれば教科書もあったほうがいい。各自ではなく班ごとに用意すればよい。アトラスや教科書は旧版でもよい。
そして、各班1冊ずつ、『解剖学カラーアトラス』を持ち込むことを要求される。
対応を考えてみよう。コストの掛からない順に。ある程度身銭を切った方がモチベーション向上によい。
ダメ、絶対‼
図書館から借りた本は実習室に持ち込まない。
0. 実習室に本は持ち込まない
多分、成績はギリギリか、それ未満になる。実習の第1週くらいはこういう班がいくつかあって、教員の指導を受ける。実際、本人たちも途方に暮れている。
再履修になれば、本代より高価になる。実習が終盤に近づくにつれ、それが現実に近づいていく。いまさら本を買うという動機もなくなり、一層状況が不利になる。教員の指導もじきに止む(大学生なのでそのように自己決定したなら仕方ない)。
1. 実習室用に汚れてもいいのを用意する
先輩から譲り受けたり、安い古書を買う。実習書以外は旧版でもだいじょうぶ。いちばん現実的。
2. 実習室用に新しい本を一冊、班でワリカンで買う
4人でワリカンにすれば負担は軽くなる。これも現実的。
3. 電子書籍をiPadに入れて使う
電子書籍をiPadに入れて、iPadをフリーザーバッグで保護して実習室に持ち込む。冊子体に電子版が付属していれば、電子版を実習室用に使える。『グレイ』と『ネッター』はこの作戦でいける。
別売で電子版のある解剖学書もある。医書.jpにあるアトラスだと:
電子版のない本はスキャンする。解剖学書のような厚い本は、裁断してScanSnapでスキャンするのが簡単だ。しかし、それもコストが掛かる。
スマホを使ってAdobe Scanアプリでスキャンする方法もある。スキャンの品質は劣り手間も増すけれども、低コストだ。コピースタンドを買うと、操作がだいぶ楽になる。
著作権を侵害しないよう注意。スキャンやコピーを自由にできるのは、ロックのかかっていない媒体の複製物を個人が自分で私的に使う場合だけ。
- 著作権が制限されるのはどんな場合?(公益社団法人著作権情報センター)
- 授業目的公衆送信保証金制度(教員が授業に使う場合:本学はこれに加盟している)
出版社の皆様:解剖学の本では、冊子体に電子版も付けてください。せめて電子版も出してください。解剖実習室は超ウエットな環境です。町中華のキッチンで洗い物の傍ら1万円の豪華本を読んだりしませんよね?
4. 家でも使うのを持ち込んで、汚れないように気をつける
いろいろな工夫があり、この方針の班も少なくない。授業後は古書として売る。
- 手袋をいちいち付け外しするのが大変なのでポリエチレン製の安価な手袋を上からはめる
- きれいなピンセットでページを摘まむ
- 先がスポンジになっている指し棒でページを擦ってめくる
- 本ごと透明なポリ袋に入れる
5. 汚れても諦める
古書では売れない。家で勉強するのに最初はちょっと気になる。だんだん慣れてくる。授業後は後輩に引き継ぐ。
この傍系として、汚れたのは持ち帰らず勉強もしない。持ち込まないのと同じくらい危険。
6. もう一冊買う
冊子体を買うのもいいし、電子版でもいい。家用と別のタイトルを買ってもいい。
7. コピーを持ち込む
その日毎に必要なページをコピーして使う。コピー代が嵩むので、お得ではない。節約のためにコピーするページを限ると、ほしい図をコピーしていなかった、という事態が発生しがち。
コンビニのカラーコピーはA3(解剖の教科書の見開き2ページ分)で一枚60〜80円。つまりコピー代が本のページ単価を上回る(下図)。
インクジェットプリンターで印刷コストの低いものを購入すれば、A4カラーで1~3円くらい。しかし左右ページを1枚ずつスキャンするので、手間はA3コピー機の倍。コピーに時間をかけるより勉強した方がよいのでは?
リビジョン
- 2023年8月24日 2023年度用に改訂
- 2022年10月4日 2022年度用に改訂
- 2021年9月9日 最初の投稿
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