ポケットチューター体表からわかる人体解剖学 原書第2版
体表解剖学のテキスト。300ページちょっとの誌面に250の図版(実測)が載っている。
体表の写真だけでなく、X線写真、CT、MRIとも対比してある。解剖標本はない。今回の改訂でエコーが追加された。
ほぼ新書版の大きさ(縦が1センチ大きいだけ)で、スクラブや白衣のポケットにいれたり、エコーの棚やCTの画面の横に置ける。高さの2/3ほどを覆うカバーを外すと、シボの入った厚紙の表紙になっている。エマージェンシー・オレンジで、薄暗い部屋でもみつけやすい。
いまの解剖学の教科書には、かならず体表解剖の図がある。ただし、章の最後の数ページだけのことが多く、体表解剖がオマケのように思われがちだ。そうではない。
臨床ではまず体表、そして画像だ。体表を見て、内部の構造と関連付ける。医用画像を撮影するときにも、まず体表の目安からアタリをつける。
穿刺や挿管など、いまの臨床手技の多くは安全のためにエコーガイド下でやるし、透視下でやる手技もある。そこでも、体表、画像、内部の位置を脳内で関係づけられるスキルが欠かせない。
本書では、体表の写真に内部の構造が描かれ、見開きに対応する医用画像があり、文章では外傷の着目点や、臨床手技の注意点も説明されている。
解剖学実習で最初にやる背部、上肢、胸部のところをみてみよう。
背部では、例えばヤコビ線などの体表の目安、体表に当てはめた内部の構造、そしてMRIとの対比が見開きで一望できる。今回の改訂で加わった小児の図とも対応でき、形の違いがわかる。
上肢では、筋注や静注のポイントをみてみる。穿刺位置の近くにある神経を脳内に描けるかが、安全な手技のポイント。
胸部は肋骨をカウントし、頚切痕や胸骨角をみつけることから。そして、肋間振動静脈、神経。乳腺からのリンパ節、縦隔の区分け、弁、肺葉など、もりだくさん。
医書.jpの電子版もある。解剖実習室に自分のiPadを持ち込むなら、これもいれておくといい。
コメントを投稿するにはログインしてください。