カメの甲羅はあばら骨、サメのアゴは飛び出し式
骨格系の比較解剖学の一般向けの読み物。著者は古生物学が好きなイラストレーター。
カメの骨格をヒトにムリヤリ当てはめた「カメ人間」(表紙のイラスト)が話題になった。
カメの肋骨は背側の一面に広がって骨甲板になり、その上を皮膚から生じた角質甲板が被っている。哺乳類のような腹側まで骨格が囲む胸郭はない。そればかりか、肩甲骨が肋骨の腹側にある。
カメにも肺はあるが、哺乳類のような横隔膜がなく、甲羅のために体腔の容積を変化させて換気することはできない。腹横筋などの体壁の筋が役割を変えて、肝臓や胃などの内臓を動かすことで肺の容積を変化させているらしい。←これを読んだだけではよくわからなかった。原著を読もうか。
カエルは骨の数を減らして骨格を軽くシンプルにした。体幹をくねらせるなどの複雑な動きはできないが、ジャンプは得意だ。ヒトの骨格もこのくらい単純化されていたら、覚えるのが楽だろうに。
直立動物の脚を比較すると、形によって得手不得手があるのがわかる。ヒトは踵を付けて歩く。蹠行(せきこう)といって、安定的だ。イヌやネコは中足骨を浮かせる。趾行(しこう)という。速く走ったり、静かに忍び寄ったりが得意だ。ウマなどつま先立ちしているのが蹄行(ていこう)で、最速で走れる。
下肢の解剖のときに他の動物と比較しながら考えてみよう。
「カメ人間」の続刊。前著では四足動物だけだったが、魚類も含めて脊椎動物の進化史を「進化順」に概観する。
ん?っと思うところがいくつかあるので、裏を取りながら読んだ方がいい。
まず、「進化順」というのがミスリーディングだ。本書の記述には、魚類→両生類→爬虫類→哺乳類と線形に進化したと読める説明がある。カエルがトカゲに進化し、トカゲがヒトに進化したわけではないのは、押さえておきたい。また、魚の浮き袋から肺ができたとの記述もあるが、実際は逆。
本の仕組みは前作と同じで、いろいろな脊椎動物の骨格になぞらえてヒトの体をつくってみたらどうなるか、というのをイラストにしてある。ポイントポイントのアイディアは楽しい。鳥の気嚢の図がわかりやすい。
コメントを投稿するにはログインしてください。