WEEK7 Day1 下腸間膜動脈領域、膵臓周辺、腹部エコー

Abdominal ultrasonography of the liver and right kidney. Wikimedia

下腸間膜動脈領域の解剖から後腹壁まで。16時から腹部エコーのデモンストレーション。

下腸間膜動脈とその栄養する臓器

  • なぜ強調する?
    • 便利だから
    • 手術で腸管を切除しようとしたら知らないと
    • リンパ管が伴走するから、リンパ節転移の経路と動脈が同じ
    • 痛覚線維が伴走するから、関連痛の場所がわかる
    • 発生も関連する
  • 上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の栄養領域の境界(分水嶺
    • 腸間膜の動脈をみて見極める。個人差がある
  • 上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の太さを比較しよう
    • 下腸間膜動脈のほうが細い。栄養する範囲の大きさの違いを考える
  • 下腸間膜動脈の側副路を確認しよう(グレイ p.269)
    • 腸管膜内の動脈のネットワークにより、上腸間膜動脈の枝と連絡している
    • 上直腸動脈(←下腸間膜動脈由来)が中直腸動脈(←内腸骨動脈)、下腸骨動脈(←内陰部動脈←内腸骨動脈)と交通する(骨盤部の実習で見よう)
  • 腸間膜動脈が閉塞したらどうなるか
    • 腸間膜動脈の閉塞によって、その栄養領域に虚血性変性が生じる
      • 原因は、動脈硬化(壁が厚くなって内腔が狭まった)、血栓塞栓症(心房細動などで生じた血栓が流れ着いて詰まった)、大動脈解離(大動脈の壁が壊れて巻き添えになった)など
    • 本幹の途絶、特に上腸間膜動脈では、急性腸間膜虚血症になり、腸管壊死のため緊急の処置を要する
    • 下腸間膜動脈では栄養領域が少なく側副路があるので、虚血性大腸炎として概ね慢性に経過する。腸管の瘢痕化、狭小化が生じる
      • 解剖体でみるかもしれない:年に2例をみたことがあった
    • 腸間膜動脈の狭窄のため慢性的に虚血があるとき、食後に腹痛を生じるようになり、腹部アンギーナ(abdominal angina)という
      • 狭心症は、angina pectoris
      • anginaの英語読みは、アンジャイナ。アンギーナは独語読みか、正しい英語読みを知らない人の誤読
  • 腸間膜が後腹壁につくところ
    • この機会に見ておく

大腸・盲腸・虫垂

  • 上行結腸と下行結腸は後腹膜、横行結腸には間膜がある
    • 境界を結腸曲という
      • 右が肝弯曲、左が脾弯曲
  • 回腸と盲腸との間には弁がある:回盲弁
    • 本当に弁になっているか、形をよくみよう
  • 虫垂の位置隣接する構造を見ておく
    • 虫垂には間膜があって、位置はいろいろ
      • 盲腸に隠れていることもあるので、探ってみよう
      • 本当になかったら、切除後かもしれない
        • 3本の結腸ヒモが集中するところに虫垂がある。そこに見当たらなければ、切除後
    •  腹壁に照らしてみる
      • マックバーニー圧痛点の下に本当にあるか?
    • 後方には後腹膜を介して腸腰筋、内閉鎖筋がある
      • 腸腰筋徴候しらべよう
        • 左側臥位で右股関節を屈曲位から伸展させたときに、イテテッとなる
      • 閉鎖筋徴候もしらべよう
        • 仰臥位で、股関節、膝関節を屈曲位にし、下腿を外側に引いて大腿を内旋させると、イテテッとなる

十二指腸、膵臓、肝門脈

  • これらは後腹膜にある。後腹膜とは何かを復習すること
  • 総胆管、主膵管、副膵管、十二指腸乳頭には多様性が多い
    • 発生を復習しよう
  • 十二指腸・膵臓周辺にある、上・下腸間膜動脈の側副路の確認を忘れない
  • ファーター乳頭(大十二指腸乳頭)周りの粘膜のヒダの形を覚えておく
    • 内視鏡でファーター乳頭をみつけるときの目安になる
  • トライツ靱帯(十二指腸提筋)をみつける
    • 十二指腸と空腸との境目。十二指腸を後壁に固定する
  • 肝門脈を腸管から肝門までたどる
  • オプション:肝区域の剖出。ビデオ・作例参照

腹部エコーのデモンストレーション

  • プローブをどう当てるとどういう画像になるか、解剖体もみながら理解していこう
  • 対馬先生、粟田先生、画像診療部の技師の皆さんが来室
  • エコーを2台使用し、1台をディスプレイに接続
  • ボランティア各2名
解剖と正常像がわかる! エコーの撮り方 完全マスター

解剖と正常像がわかる! エコーの撮り方 完全マスター

種村 正
9,732円(12/19 00:48時点)
Amazonの情報を掲載しています

進行について

  • 時間に余裕があれば、CT課題に班で取り組んでほしい
  • 肝区域の剖出もしておきたい
  • 離室する場合、16時前には集合のこと

進捗

  • 13時〜13:20、前説
  • 5分ブリーフィング後、実習スタート
  • 14時、脳刀を準備して、注意説明
  • 15:30、半分くらいは終わって、CT課題や肝区域に取り組んでいる
  • 14〜14:50、腹部エコーデモ
    • 2ブース、男子3名、女子2名
    • 肝臓と肝静脈と門脈、胆嚢、肝臓と右腎とモリソン窩、脾静脈と膵臓、脾臓と左腎、膀胱
    • 胎児、胎児の心臓・脊柱・肋骨など、胎盤、臍帯と臍帯の血管
  • 続いて、質疑。17:20まで
  • 17:20、5班。肝区域や課題やブリーフィング
  • 17:45終了