Grant’s Dissector, 17E
『グラント解剖学実習』の原著『Grant’s Dissector』が改訂され、17版になった。『Grant’s Dissector』は欧米で最も多く利用されている解剖学実習書だ。解剖手順、その説明、付図などが少しずつ改善されている。
第16版のときに準拠するビデオ教材『Grant’s Dissection Videos』が制作された。書籍の改訂に合わせてビデオ教材も改訂された。本学では2020~21年度、解剖学実習期間中に視聴できる。
実習書とビデオは、Alan J. Detton氏が精力的にアップデートを続けている。
『Grant’s Atlas of Anatomy』も合わせて改訂され第15版になった。これも『Grant’s Dissector』とともに1940年代から続いている解剖書だ。
Grant's Atlas of Anatomy (Lippincott Connect) (English Edition)
実習書、ビデオ、アトラスがそれぞれ準拠した教材になっていて、解剖学実習のリソースとしては無双になった。『Grant’s Anatomy Lab』は、これら3つを含むオンライン教材である。(これは本学では利用できない。)みな英語が達者なら、この環境内で済むので便利なのだが、日本語の解剖用語も知らないといけないのでこれだけというわけにもいかないだろう。全部そろって日本語化されるといいのだが。
解剖学実習で使うテキストにこれを使ってもよいが、班員全員の合意でそうしよう。一人だけ版も言語も違ったりすると、ディテールの違いでけんかになりそう。
日本語版の出版社には、改訂と電子リソースへの対応を頑張ってほしい。
今回の改訂では、臨床関連事項の充実、図の追加と改善、本文と図の用語の不統一の修正などがほどこされた。レイアウトも見直されて、よみやすくなった。
この版から、章の初めに臨床関連事項がまとめがある。実習の目標が最初に呈示されるのは、好ましい。なにかの解決すべき「問い」がないと、解剖実習では、ついつい漫然と作業をしがちなのだ。
また、他書への参照が『Grant’s Atlas of Anatomy』と『Grant’s Dissection Videos』になった。(電子版には『Photographic Atlas of Anatomy』、『Lippincott Atlas of Anatomy』、『Atlas of Human Anatomy (Netter Basic Science)』への参照もある。)
前版に対応する日本語版と比べてみよう。左側が原著第17版、右側が日本語版で第16版に対応する。手技や手順に大きな変更はないようだ。図の用語が修正されているが、日本語版で勉強している限りは問題ではない。臨床関連事項は追加や差し替えがある。
この版では、オンラインサービスである「Lippincott Connect」上の電子書籍へのアクセスコードが添付されている。コードを使ってユーザー登録して使う。もし登録済みなら、ログインしてコードを使ってコンテンツを追加する。
電子書籍は誌面のままのPDFではなく、Web用にレイアウトされ直されたもの。ブラウザで見るようになっている。大きな画面では少し間延びして見えるが、スマホなどでは文字が小さくならず読みやすい。練習問題も付いている。
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