レジデントノート:胸部X線・ベッドサイドエコー・腹部CT

「レジデントノート」は主に研修医や研修開けの医師むけの羊土社の雑誌。創刊20年を超える。1999〜2001年は隔月刊、2002年から月刊、2010年からは増刊もでるようになった。創刊時からほとんど表紙のデザインが変わっていない。誌名が色帯に白抜き、特集が赤字、右下に特集を模した立体イラストがある。率直にいって全体に生真面目で地味でマンネリ時代に流されない。ナース誌が眩しくみえる✨

レジデントノートの立体イラストは野崎一人氏の作品でアートっぽい…いや、読むのは中身だ。特集や連載で多いのは、プライマリケアと一次救急。実際的で要点がとらえられ、短時間で学べる。どの科に進んでも役立つことが多い。時代の趨勢をとらえてはいるが、外乱には流されない。実際、新型コロナウイルス感染症や感染制御一般の言及は連載の中で数件だった。他誌に任せているのだろう。

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レジデントノートのバックナンバーから、本学の解剖学実習でも役立ちそうな医療画像関係の特集のを集めてみた。数年分はバックナンバーをAmazonなどで新品で入手できる。

X線所見を読み解く! 胸部画像診断(2018年5月号)

この特集では、胸部単純X線写真の読影のポイントを学べる。多くの場合、対応するCT画像も示されていて、単純X線写真読影の「正解」として役立っている。

単純X線写真は、X線被曝が少なく簡単に撮影できる。CTは病変の検出には優れるけれども、被爆が多い。そのため、胸部の画像診断では単純X線写真を最初に使うことも多い。経過を追うのにも低被爆は有利だ。一方で、単純X線写真では前後の構造が重なってみえてしまうので、読影には一定の修練を要する。読影のポイントを上手に押さえることが肝要だ。

もっとも、教条のように単純X線写真にこだわるより、症候から疑われる病態に合わせて、エビデンスに基づいて診断法を選ぶようにはしたい。

 

撮影が正しかったかのチェックを最初に

 

シルエットサインが重要

 

腫瘤影の読影

 

エコーを聴診器のように使おう! POCUS(2018年8月号)

エコーは手軽で低侵襲なので、ベッドサイドで使われることも多い。Point-Of-Care Ultra Soundを略してPOCUS。心エコーのほうはFocused Cardiac Ultrasoundを略してFOCUS。新型コロナウイルス感染症の診療でも役立つ。

  • 心エコー — 心筋症合併の評価
  • 肺エコー — 呼吸不全・胸水貯留などの評価
  • 横隔膜エコー — 横隔膜機能の評価(人工呼吸器からの離脱可能性の評価)
  • 下肢血管エコー — 深部静脈血栓症の診断
  • 腹部エコー — 腹部臓器の評価
  • 骨格筋・関節エコー — 筋注に関わる解剖の理解

解剖学実習では、専門医による心エコーと腹部エコーのデモンストレーションがある。解剖体と比較しながら健常な身体をエコーで観察し、その立体感を身につける。時間に余裕があったら自分でも操作してみよう。

 

原理とアーチファクトを理解しておくことがまず重要

 

ベッドサイドの心エコーはまず5つの断面を練習

 

誌面にあるQRコードを使うと、図のいくつかの動画を見ることができる。エコーの画像は、動画で見ないとわかりにくいことが多い。

 

一部の図にはQRコードがある(この画像では加工して無効にしてある)

 

羊土社のサイトで動画をみられる(肺のスライディングの動画)

腹部CTの読み方がわかる!(2019年7月号)

腹部の画像診断では、CTの診断力が欠かせない。一方でみるべき構造が多いので、習得は胸部CTより大変かもしれない。

この特集では、腹部の代表的な病態についてCTの読影を学ぶ。

 

横断面の構造の同定から

 

大動脈解離のCTと模式図。解剖体でもしばしばみられる

 

誌面にあるQRコードを使うと、スライスを連続的にみることができる。CT画像のスライスを一枚だけみたのではわかりにくい構造も、スライスを連続的に送るとよくわかる。

 

腹部CTの連続スライス