脳神経の解剖&疾患ノート: 日本一カンタン・わかりやすい
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神経内科・脳神経外科のナース向けの参考書。雑誌『ブレインナーシング』の特集を再編集した別冊。タイトルの「脳神経」は、「脳神経外科学」、「脳神経内科学」のほうの意味らしく、「cranial nerves」のことではない。
「先輩ナースが手描きでまとめたノート」、「ねころんでよめる」というイメージでつくられたという。実際に、A4サイズで136ページと、ノートくらいのボリューム。ページに罫線が入っていて、手描きフォントが多く使われ、ところどころにマーカーで画いたようなハイライトが入っている。
神経解剖学の勉強の合間にさっと読んでみよう。医学科の授業で使われる教科書は詳しく、現象を理論的に考察する力をつけるには必要だけれども、実務に役立てるまでの学習曲線は急峻だ。実務でのターゲットを先に知っておくのは、モチベーション維持や全体の見通しをつけるのに役立つだろう。
全体が二つに分かれていて、多くの神経内科・脳神経外科の教員や医師が分担して執筆している。基礎医学のひとはいない。
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執筆者一覧
1章「語感で覚える解剖生理」では、簡単なイラストを使って、脳の各部をひとつずつ、解剖と機能の両面から簡潔にまとめている。「語感で覚える!」という表現が奇異だが、内容から帰納すると、解剖用語を簡単化してちょっといい話も交えて説明するというような意図だろうか?「機能を覚える!」では生理学的な正常機能だけでなく、しばしば疾患との関わりも記される。
ごかん【語感】 ①その言葉から受ける感じ。言葉が与える印象。ニュアンス。「―の微妙な違い」 ②言葉に対する感覚。言葉の細かい用法・意味の違いなどを区別する感覚。「―が鋭い」(スーパー大辞林)
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解剖生理のまとめ
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滑車神経の機能。視線の向きによって作用が異なることが書かれている解剖学書は少ない。
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血管の役割も、障害を受けた場合の症状から説明される。前交通動脈など、ふつうの解剖学書にはないような機能が書いてある。
2章「ゆる〜く、やさしく脳神経疾患」では、代表的な脳の疾患がそれぞれ数ページでまとめられる。病因、症状、医用画像、治療やケアが記される。
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くも膜下出血、症状や画像から。「高吸収域」といわず敢えて「白いのが」と言い切ってしまう。一方で、左右がひとつひとつ印されている。
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神経膠腫は予後不良なことが多いので、緩和ケアのことが最初に書かれる。
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