のほほん解剖生理学

非推奨本書の内容には医学的な齟齬が散見されるため、医療関係者およびそれをめざす人の学習には推奨しがたいです。お読みになるにしても他の専門書で改めて学習することが求められます。娯楽としてお楽しみください
YouTubeで公開されている学習動画シリーズの書籍化。
筆者の「玉先生」(*1)はYouTube上で学習動画を多数公開している(詳しくはウエブで)。
大学入試に関する物が多いが、看護系のシリーズもあり、なかでも解剖生理学の動画が51本ある。いずれも簡単なアニメーションと軽妙なナレーションで、要領よく解剖生理学(*2)が解説されていて、みていて楽しい。筆者は医学や医療とは関わりないらしいが、面倒な話から要点を抽出し、わかりやすく説明する技術はすばらしい。
本書は、動画と同じ素材をオフラインでも学べるようにと書籍化されたもの。

はじめに。数時間で解剖生理学を概観する

イラストで解剖生理を学ぶ
動画と同様、本書でもイラストが主になっている。イラストはデフォルメが強い。説明も枝葉がバッサリ刈り取られている。わかりやすさは、紙面にも引き継がれている。教え方や表現が楽しめる。
…ふう、ほめるのはこの辺にしておこう。
『イラスト解剖学』のように論理的に正しいなら表現としてよいが、本書では気になる点が少なくない。あらかじめ知っていれば気付けるけれども、初学者にはどうかとも思われる。誤った知識のまま臨床まで行ったときの危険を考えると、お勧めするには躊躇してしまう。学校の授業をチャンと勉強してくれたらいいのだけれど。
監修者に医師(*3)が入っているが、見過ごすことが多かったのだろう。監修がきちんとなされていたら、「一見変な本だけど、よく見るとちゃんとしていて、楽しく勉強できる」という本になったのではないだろうか。現状では、「ちょっと見ただけであちこちデタラメすぎる」という感想になってしまう。

単純化された動脈系。腕頭動脈、総肝動脈、外腸骨動脈〜大腿動脈とか、なんだかデタラメ

心嚢膜、胸腔膜ってなんだ?

血小板に棘が生えるのは、活性化されたときで、ふだんはつるっとしている
- 男性。動画上は看護師のコスプレをしている。ちなみに、ナースキャップは現代の病院・医院では廃れて久しい。
- 主にコメディカルの学校で教えられる科目で、医学科の解剖学と生理学とを合わせたもの。
- 神経内科・総合内科の医師。頭痛や季節病が専門で、東京医科歯科大の「臨床教授」(非常勤講師などのうち優れた者に与えられる東京医科歯科大での称号)を付与されているらしい
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