二関節筋を体感しよう
筋の多くは関節を1つだけ跨ぐ。単関節筋である。これに対し、四肢の筋には関節を2つ跨ぐのも多い。二関節筋という。
各関節の伸側と屈側にそれぞれ単関節筋と二関節筋がある。これらが常に張力を保ち、中枢からの複雑なコントロールなしに、スムーズな四肢の動きを機械的な機構で実現しているという。
二関節筋があるために、肢位が関節可動域に影響する。筋の起始停止を考えながら、自分の体で試してみよう。
上腕二頭筋
上腕二頭筋長頭は、肩関節と肘関節の両方に作用する二関節筋である。肩では外転・屈曲、肘では屈曲・回外である。一方の関節でそれらに逆らった肢位を取ると、他方の可動域が減じる。
- 上体を起し、片方の上肢を内転させて体幹に添わせる。上腕を外旋させ前腕は回外位にする(肘が後ろを、掌側が前を向く)
- 肩関節を伸展(上肢を後方に挙上)させると、ある角度で上腕前面に痛み(または張った感じ;以下同様)が生じる。肩関節で上腕二頭筋長頭が牽引されるからである
- そのまま前腕を回内させると(上腕が内旋しないよう注意)、上腕前面の痛みが強まる。肘関節で上腕二頭筋の停止腱が牽引されるからである
- 前腕を回外位に戻して肘関節を屈曲させると、上腕前面の痛みが弱まり、肩関節をより伸展できるようになる。上腕二頭筋の停止腱が緩むからである
他の筋も考えてみよう。
上腕三頭筋
- 上体を起し、片方の上肢を内転させて体幹に添わせる。上腕を外旋させ前腕は回外位にする(肘が後ろを、掌側が前を向く)
- 肘関節を屈曲させる(指先で肩に触れるよう意識して)
- そのまま肩関節を屈曲させる(肘を前方から上方に挙げる)
- 肘関節を伸展させると、肩関節をより屈曲(肘をより挙上)できるようになる
ハムストリング筋
- 立位をとり、片足立ちできるよう手すりなどにつかまる
- 片方の脚について、膝関節を伸展させたまま股関節を屈曲(大腿を前方に挙上)させると、ある角度で大腿後面に痛みが生じ、臀が後ろに傾き腰が曲がる。ハードル走を思いだそう
- 膝関節を屈曲させると、大腿後面の痛みが弱まり股関節をより屈曲できるようになる
腓腹筋・足底筋
- 椅子などに浅く腰掛け、片方の膝関節を伸展、足関節を底屈させる
- そのまま足関節を背屈させると、下腿後面に痛みが生じる
- 足関節を背屈させたまま膝関節を屈曲させると、下腿後面の痛みは消える
大腿直筋についても体感できるか、考えてみよう
トレーニングやリハビリに関わるようなときに思い出そう。